miniな舞台

観劇記録+日記@不定期更新。俳優・内野聖陽さんを勝手に応援中!時々サカナクション。

No.465 「海をゆく者」

2014年12月22日 22時22分24秒 | 過去の観劇記録
2014年12月21日(日) マチネ パルコ劇場 Y列 14番

ロックハート=小日向文世、リチャード=吉田鋼太郎、アイヴァーン=浅野和之、ニッキー=大谷亮介、シャーキー=平田満。
作=コナー・マクファーソン、翻訳=小田島恒志、演出=栗山民也。

アイルランド、ダブリン北部の海沿いの町にある家に、もう若くない二人の兄弟が暮らしている。
兄リチャードは、最近、目が不自由になってしまい、その世話のために戻ってきたという弟シャーキーは職がない。
酒癖の悪さで人生をだめにした弟は禁酒中だが、目の不自由な兄は大酒飲みで、クリスマスイブの朝も、起床直後に近所のアイヴァーンと飲んだくれている。
陽気で解放的で適当な性格の兄は、弟が顔を合わせたくない知人ニッキー(前妻の恋人)をクリスマスだから、とカードに誘って弟をおこらせる。
そのニッキーがつれてきた見知らぬ男ロックハードこそが、弟が最も会いたくない、会ってはいけない人物だったのである。
(あらすじは以前観劇された方のblogから転載)

5年前だかに初演で、当時も評判が良かったんですよね~
今回運良くチケットが取れました(しかも2列目!)

セットはリチャードとシャーキー兄弟が住む、地下の部屋。地下と言っても階段の踊り場に窓があり、結構明るい日差しが入る部屋である。
石造りの壁があり、叩けばホコリが出まくる(久しぶりに龍角散の匂いw)ソファや、脱ぎ散らかした服や靴、呑んだ酒瓶などが転がっている男2人の小汚い部屋。カミテ壁側にはクリスマスツリー。階段の途中の壁にはキリストの絵が掛けてあった。
カミテには台所・風呂場・裏口へと続くドアがあり、この上部分が地上となっていて、部屋から出ていったリチャードらの足部分が少し透けて見えるような感じになっていた。

幕開きすぐの鋼太郎さんの「シャーキー!!」という爆音(笑)に驚く。
あらすじなど殆ど知らずに観に行ったので、リチャードは目が見えないのだ、とその時に知る。
とにかく酒。酒。酒。
紅茶をいれてくれたシャーキーに対して、「アイリッシュコーヒーがいいな。コーヒーがなければアイリッシュだけで」なんて言う位である。
それでもって汚いらしい… お風呂に入ってないとかで、まぁそれはそれは素敵な『香ばしい』匂いがするのだろう。それと酒臭い…
痰を吐きまくってテーブルの角や階段の手すりにつけちゃうし(それを触ってしまったアイヴァーンとかの反応が面白い)
まさかの鋼太郎ナマ尻まで拝めるとは(汗)
なおかつ暴力的ですぐに逆上し、手に持った杖を振り回し怒号を発しながら、目が見えないというのに飛びだそうとするのだから。
いやはや手のかかる兄である。

兄の世話をする弟のシャーキーは最初のうちは文句いいながらも割と大人しめ。
1幕中盤でニッキーが連れてきた謎の紳士ロックハートと2人きりになった途端、話が急に動き出し、なおかつ2幕では禁酒していた酒を呑んでしまう。
ここら辺からシャーキーの鬱憤が爆発し、兄に対する想い、自分の情けなさがどんどんと出てきてしまう。
どの仕事も上手くいかず、酒を呑んでは暴れて酒場出入り禁止、妻には愛想つかされて娘とは離ればなれ、やっと就いた職場では雇い主の妻と出来てしまって…という負の連鎖にシャーキーはいたのだった。
だがボロクソに言っている兄は弟を信じていた。いつか元のようになってくれると。素直な少年時代の面影が兄の中にはずっと残っていたんだよね~
2幕ラストシーンは秀逸。
また平田満さんが素晴らしくて。もちろん他の4人の俳優さん達もお見事なのだ(このキャスティングをした方は凄いな)

こちらも飲んだくれの、アイヴァーン役は何の役をやっても素敵すぎる浅野和之さん。今回は妻にはアタマが上がらない亭主でした。動きがいちいちツボるわ~
ニッキー役の大谷亮介さん(お久しぶりです…)テンション高いな~ 今はシャーキーの元妻と交際しているらしく、事業も上手くいってオカネも持ってるみたい。恋人の名前を腕に彫っちゃうほど(なぜカタカナw)愛してるんだよねー。

ロックハード役の小日向さんが、また!上品なスーツ・コート・帽子姿も良くお似合いだが、あの少し半笑いの表情のまま、シャーキーを追い詰めていく様はゾクッとする。小日向さんが平田さんに壁ドンw(まったく萌ぇないが)
この小日向さんの役は詳しく書くと随分とネタバレになってしまうので書けないのだが、『彼』だって明るい暖かい所へ憧れてるんだよね。そうだよね…たしかに悪いことしたからだろうけど、そんな底の暗い所へずっと居なければいけないのは切なすぎる。
酔っぱらい具合もお見事でした!

照明も効果的でした。
色々なモノが舞台上を飛び交ってましたけどねw(ツバとかピスタチオの皮とか…)
それとポーカー! ある程度のルールを把握してると尚更面白いかも。
2幕は喫煙率が高し。それと舞台上が非常に寒い(幕が開いたら冷気がやってきた)←あれだけ熱量がある演技だからか…

5人の名優によるガチンコ芝居は非常に濃厚かつ満足の3時間でした。
どれだけ映像技術が発達しようと、やはり空気感とか密度とか、そういったものは劇場に来て実際に体験しないと。
演劇って素晴らしい、と改めて思った公演でした。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿