2019年5月4日(土・祝) ソワレ 赤坂ACTシアター 1階 M列 センターブロック ほぼセンター
アレクサンドル・イワノフ(アレクサンドル、と劇中で呼ばれる)=堤真一、アレクサンドル・イワノフ(イワノフ、と劇中で呼ばれる)=橋本良亮(A.B.C-Z)、医者=小手伸也、サーシャ(アレクサンドルの息子。名前はアレクサンドル・イワノフ=父と同じ名前)=シム・ウンギョン、大佐=外山誠二、教師=斉藤由貴、他。
作=トム・ストッパード、作曲=アンドレ・プレヴィン、演出=ウィル・タケット、指揮=ヤニック・パジェ。
舞台はソビエトと思われる独裁国家の精神病院の一室。
誹謗罪でつかまった政治犯の男(アレクサンドル・イワノフ)と、自分はオーケストラを連れているという妄想に囚われた男(アレクサンドル・イワノフ)。
全く異なる状況、立場で同じ精神病院へ送り込まれた二人。
社会から完全にはみ出している人間を、社会はどう扱うのか…?
(あらすじは公式HPより)
英語の原題であるEvery Good Boy Deserves Favourは、五線譜を覚えるための英語の語呂合わせ。一番下からミ(一点ホ)、ソ(一点ト)、シ(一点ロ)、レ(二点ニ)、ファ(二点ヘ)で、この音は英語ではE,G,B,D,F,つまり" Every Good Boy Deserves Favour "と頭文字を覚えれば、どの線にどの音が引っかかるのか譜読みするときにすぐ思い出すことができます。
つまり私たち日本人が√2の値を「ひとよひとよにひとみごろ」と覚えるような言葉遊び、語呂合わせの一環です。
この語呂合わせのように「社会はそういうものだから、従っていればいいのだ」と教え込まれ、そして何の疑問もなく「社会はそういうものだから」と生活をしている自分たちの姿を想像してみてください。
自由な世界に生きているはずが、実はとても不自由なものに感じられるのではないでしょうか。
と、公式HPでも書かれています。
トム・ストッパードの作品は4作品目なのですが(コースト・オブ・ユートピア、アルカディア、ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ)、どれも難解というか理解するのに時間がかかる作品が多い印象です。
舞台上にはフル・オーケストラの皆様がいて、その手前に階段(5段だった!これ、楽譜を表現しているらしいです)シモテとカミテに見張り台のような階段セット。シモテ側手前には医師の診察室。オケの指揮者が軍服を着ていたのにも意味アリ(と思う)
グレーを基調とした囚人(病人?)服。
看守らしきダンサーさんが7人(これ、音階を表現しているらしいです。ううーん。観る前に知っておけば良かった情報が多すぎる!)
自分はオーケストラを連れている、と言い張るイワノフ。一方アレクサンドルは政府に対する反逆で同じ病室(?)監獄(?)に入れられる。
この二人が(いや、アレクサンドルの息子を入れれば三人が)同じ名前なのもミソなんだと思う…
もしかして自分もアタマの中にオーケストラいるかな~とか思う時もあるが(^_^;)
まぁイワノフほどではない。
オーケストラ=社会の秩序の象徴らしい。(「らしい」多いなorz)
和を乱すモノは排除される傾向にある現代だから、この作品を今観るというのも良いのではないかな。
このタイトルの「良い子」も、言うこと聞いて大人しくしてれば…って事だし、「ご褒美」も和にハマっていれば良いこと(?)あるよ~って暗に圧をかけられている感じ。
イワノフの発言に面倒くさくなって、「オーケストラはいる!」と叫んでしまう医師や、その上司である大佐の言うことには何の意見を挟むことが出来ない体勢。
また大佐の登場シーンがねぇ~。白飛びするくらいの神々しい照明と音楽…
「天才」と呼ばれている大佐だけど、結局病院(いや、監獄か?)内でアレクサンドルにハンストで死なれては困るので、とらえどころのない質問を双方にして出してしまうんだな。
サーシャが歌う歌も、音階に意味があるらしく(^_^;)自分は解らなかったけどw
「パパ、言うこと聞いて…楽になるから」とか「お願い、嘘ついて」とパパの意思を曲げてでも出てきて欲しい息子の願い。
堤アレクサンドルの憔悴加減が凄い。
イワノフの橋本くん初見。難解な戯曲でしたが頑張っていました。橋本くん目当てのジャニーズファンも沢山いましたが、こういう作品に触れて、他の演劇にも興味持ってもらえたらいいなぁ~と思います。
小手さんの医師がいいキャラしてますw
ダンスがコンテンポラリーだったし、なんだか観劇後はアタマウニになってました…
ラストでアレクサンドルが見えないオーケストラの指揮台に立った意味とか、色々友と語り合いながら劇場を後にしました。
トム・ストッパードって深いわ~