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観劇記録+日記@不定期更新。俳優・内野聖陽さんを勝手に応援中!時々サカナクション。

今後の観劇予定

直近はナシです… コロナめ!

No.437 「冬眠する熊に添い寝してごらん」

2014年01月13日 21時03分15秒 | 過去の観劇記録
2014年1月12日(日) ソワレ シアターコクーン 2階 D列 4番

上田竜也、井上芳雄、鈴木杏、勝村政信、立石涼子、大石継太、冨樫真、間宮啓行、木村靖司、石井愃一、瑳川哲朗、沢竜二、他。
作=古川日出男、演出=蜷川幸雄。

「百年の想像力を持たない人間は、二十年と生きられない」――。
これは、清濁の血を併せ持つ伝説の熊猟師と、熊、そして犬との聖なる戦いの物語。
熊猟師の子孫である川下兄弟の愛憎が100年の時を越えて絡み合う。
兄とじゃれあいながら、実に楽しそうに笑う弟、その名は川下多根彦。
ライフル競技でオリンピック代表に選ばれた兄、川下一を尊敬し、競技に熱中する兄の代わりにエリートとして育ち、家訓である「25才で一子をもうける」を実践せんとしている。
兄弟が海をながめるその港は、かつて、越後から放たれる石油が積み出されていた―。
そして語られ始めるのは、100年前の<欲望するエネルギー>石油の物語。
祖先である<伝説の熊猟師>の自然に翻弄されながらも全てを司るような視点と、兄弟の視線が交差する。
絶対の信頼で結ばれていた兄弟の前に、ひとりの奇妙な女が現れる。多根彦の婚約者、女詩人のひばりである。
惹かれあう一とひばり。兄弟の絆が揺らぎ始める。その揺らぎは時空を越え、日本の歴史の暗部に光をあてることに―。
北陸の吹雪のその先に見えてくるものは、兄弟の邂逅なのか。それとも―。
(あらすじはシアターコクーン公式HPより)

2014年の最初はこの「熊」からスタート。
上演時間は休憩15分を含めて約4時間… 久々の長い芝居だ~

そして観劇しての感想は「良く解らん」でした(^_^;)
いや、つまらなかったワケでは無いが(面白い所もあるし凄い場面もあるし)
色々な事柄を詰め込みすぎて脳みそが拒否反応を示している…というか理解しようとしてないのかも知れない(笑)

川下一(ヨシオ王子)と多根彦(上田くん)の兄弟、ひばり(鈴木杏ちゃん)との関係を軸に、2人兄弟の祖父(沢竜二さん)とさらに高祖父(ひいひいじーちゃん)の勝村さん演じる「伝説の」熊猟師との3代を絡め、さらに石油と熊と犬、日露戦争や原発までをも詰め込んだので盛りだくさんになってしまったのだ。

もっとアングラ系になるのかと思っていたがそれほどでもなかった。だがセットは強烈な印象の大仏の胸像。デカイ。コクーンの舞台の3分の1以上を占めてしまうのではないか?(まあ奥行きは薄いけど。タッパはあった)しかもその大仏が(爆)
「大」にひとつ点を足すと「犬」になるねぇ。まぁそういうことだね(謎)
それと般若心経と、忘れてならないのは回転寿司のベルコン。このベルコンは舞台上から客席の前方センターブロックをぐるっと囲むように配置されて、実際動く(寿司は食品サンプルが回っていたようだが)
回転寿司屋が一とひばりのターニングポイントになるのだけどw

幕開きは大道具搬入口を開けて(冬は寒いってば!)一匹の犬が登場。
熊の猟に犬は欠かせない。芝居には熊と犬とが2頭ずつ登場するのだけど、犬の着ぐるみが非常に良くできていて、また演じている俳優さんも四つん這いの姿勢で大変だったろうと思う。犬は日本犬だなw(秋田犬か?)
熊猟師と熊との秘密の「契り」もあるのだけど、これは何を意味するのか謎だった(やはり理解能力が足りないのか…)
やがて現代の兄弟が登場。兄と弟はキモチ悪いくらい仲が良い。
主演の上田くんは、尊敬し愛する兄の代わりに家訓を守ろうとし、やがて狂気の世界に陥ってしまうのだけど、2幕中盤以降に出て来た時の狂った多根彦の造形は凄まじかった。思った以上に出番は少ないが(^_^;)
兄のヨシオ王子は10年降りの蜷川さんの舞台出演(10年前の「ハムレット」も観劇している♪)かなり重要な役で、蜷川さんの舞台でも浮いてないし、舞台人としての成長っぷりを感じられ、感慨深い(個人比・笑)
射撃のオリンピック代表ということでライフル銃を構える姿勢も似合いすぎている(形から入る!)
弟の婚約者であるひばりと意気投合、というか波長が合ってしまって、後悔しながらもひばりとの愛欲にふける一。
白いパンツ(ボクサーブリーフ系でしたが)でのベッドシーンが長い!ベッドが結構な八百屋でズリズリーっと滑っちゃうけど。
あと妙に昭和チックな英語もワロタ。芳雄くんがリアルに言いそうだから余計かも(笑)
一がインタビューを受けるドキュメンタリー番組の名前が「情熱いっぱいの大陸」!!

勝村さんのひいひいじーちゃんも謎めいた猟師役。存在感さすが。
石井愃一さんの、こちらも謎の富山の薬売り。時代さえも越えている。
それとひばりの祖母を演じた立石涼子さん良し。
このばーちゃん、ばーちゃん仲間で「講」という、まぁ投資信託のようなことをやってるんだけど、事業の中に「回転寿司屋」があって、そこで多根彦とひばりの結婚の為に両家の顔合わせをしようという算段。
だがなー。『両家顔合わせに回転寿司屋なんか使うかよ!』という突っ込みは置いといて(笑)
回転寿司を劇場に喩えたり、寿司職人が寿司をレーンに出す手と、回る寿司を取るお客の手を千手観音に見立てて語られる婆達の、コロスとも捉えられる場面は私的にとても感銘を覚えた。
回転寿司屋で一とひばりの心が惹かれあう一連のシーンも情熱的であったが、台詞が聞き取りずらかった。他にも石油掘削の場面でもイマイチ良く聞こえずに、消化不良のモトになってしまった感。

でもってこの石油掘削の(時代的には、ひいひいじーちゃんの時代)場面が!長い!!
後で調べたら実際に新潟で石油が採掘されていたし、現代でも民家の庭から石油が出て来て大変だ、となっていたらしい(事前のリサーチが必要だったか…)
この場面で実は現代の一とひいひいじーちゃんがリンクするキッカケがあるのだけど、これも何か「なぜ?」という疑問符ばかりアタマに浮かんでしまった。

ひばりの方は母との繋がりを疑問に思い、詩に情熱をぶつける女詩人(髪の毛が半分銀髪で、ブラックジャック状態w)
多根彦とラブラブだったのになぁ。一の語彙力(ちょっと独特な。松岡修造的とでも言おうか・爆)に魅了され、互いに惹かれあってしまう。
実はひばりには犬の血が混じっていたのだった。母が犬に獣姦されて血が混じった子だった。
またこの犬が時代を繋ぐ大きな軸にもなっていて、ともかく一筋縄ではいかない戯曲!

2幕はさらに理解不能度を増してしまって、やはり良く解らんまま、一とひいひいじーちゃんは熊と冬眠してしまったw

客席は上田くんのファン多し。だいぶ若い客層でした。
きっと初めて舞台を観る人も多かったのでは?
これに懲りずに他の舞台も観てねー(^_^;)

帰宅してしばらくたってから、兄弟の愛憎と関係性が「TRUE WEST」のリーとオースティンにも似ていたなぁと思い立った。