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No.349 「ベッジ・パードン」

2011年07月17日 22時20分10秒 | 過去の観劇記録
2011年7月17日(日) マチネ 世田谷パブリックシアター 1階 H列 6番

夏目金之助(漱石)=野村萬斎、アニー・ペリン(ベッジ)=深津絵里、畑中惣太郎(ソータロー)=大泉洋、グリムズビー(アニーの弟)=浦井健治、ハロルド・ブレット他11役=浅野和之。
作・演出=三谷幸喜。

1900(明治33)年12月6日の朝。
ロンドン、フロッドン・ロードの一角にあるブレット家の3階に、ひとりの日本人留学生が転居してきた。彼の名は夏目金之助。10月にロンドンに到着したばかりだ。階下には貿易会社の日本人駐在員、畑中惣太郎が下宿している。社交的で英語を流暢に話す惣太郎に対して、日本で英語教師をしていた金之助の英語は、現地ではまったく通用しない。下宿先の主人ブレット夫妻や、英文学を教わるクレイグ先生の前では、つい口が重くなってしまうのだ。女主人の妹ケイトの存在も金之助を憂鬱にさせる。
そんな金之助も、ブレット家の女中アニー・ペリンとは、唯一肩の力を抜いて会話を楽しむことができる。アニーはロンドンの下町イーストエンド生まれで、明るく気のいい働き者。ただしコックニー訛りがキツく、彼女の口ぐせである“I beg your pardon?”(失礼ですが)は金之助には“bedge pardon?”(ベッジ・パードン?)と聞こえる。そこで金之助はアニーに“ベッジ”というあだ名をつけた。しだいに心を通わせていく2人。
一方、ベッジの弟グリムズビーも金之助を大いに気に入り、とある計画を持ちかけてくる。1901(明治34)年1月22日、ビクトリア女王が崩御。ロンドンでは盛大な葬儀が行われようとしていた。金之助が巻き込まれようとしている計画とは?
そして金之助とベッジの恋の行方は――?
(あらすじはプログラムより)

笑った~。これぞ三谷さんの芝居だなぁ。「国民の映画」も「ろくでなし啄木」も良かったが、やはり「ベッジ・パードン」は凄まじい。

セットは金之助の下宿先、ブレット家の3階の金之助の部屋、それと4階(屋根裏?)のベッジの部屋の窓。
シモテには階段と部屋の入り口。カミテには非常階段から繋がるドア・ベッド・机・暖炉と、舞台奥には窓。
シモテにあった柱が若干邪魔であった。

日本で英語教師をしていたのに、いざロンドンへ留学してみたら全く歯が立たない金之助の焦り。
秋田弁の訛りがひどくコンプレックスを抱き、英語では別人のように流暢に喋り社交的なソータロー。彼は金之助に対して「自分には無いモノ(ユーモアのセンス)を持っている」と僻む。
アニーもやはり訛りがスゴイ。人より理解するのが遅れるため、いつもいつも怒られてばかり。だが彼女は前向きで明るい。
この3人の言葉コンプレックスが主軸となっている。
「ほんとうに大切なものは目に見えない」が嫌いだという三谷氏。言わなきゃ解らない。そりゃそうだ。

萬斎さんは「ファウストの悲劇」以来2度目だが、今回の金之助役は適役だった。まず姿勢が綺麗だ(関係ないかw)足袋がサマになっている(金之助の部屋は土禁なのだ)周りの人に振り回されて徐々に神経を病んでいく所も良かった。ラストの机に頰杖姿は漱石そのものだった。
大泉さんや浅野さんとのやりとりで、マヂで笑いのツボに入ってしまったのを必死にこらえている姿が素敵(笑)
あと扇子を広げる仕草はサスガだと。
深津絵里さんは舞台では初見だと思うが、とっても可愛らしいベッジ!訛りも愛らしいし、夢想家だけど現実もちゃんと把握してる。皆からは「出来ない女中」と思われているが、なになに、けっこう観察眼は鋭い。
大泉洋さんも初か? 完全な当て書である♪ 三谷さん、きっと大泉さんをイヂるの楽しかっただろうなぁ~w
彼が金之助に対して行う嫌がらせ、というか行為は、何となく理解できる。彼が金之助に抱く感情はもっともなのだ。
英語は流暢だが日本語は秋田弁というギャップ!(英語では たどたどしい金之助が、日本語になると急に声が張って威厳があふれるのもミモノだった)
浦井くん、ちょっと太ったかね?(衣装のせい?カツラのせい?)キャラ的には「回転木馬」のビリーみたいな、ちょい悪(いや、結構か?)&弟気質丸出しのグリムズビー。ソータローをあからさまに無視(笑)
素敵な歌声まで披露(浦井くんがナニモノかを知っている一部客席より大拍手)
そしてこの芝居の陰の主役とでも申しましょうか。浅野さん。
11役って!しかも犬の役まで!!(犬の亡霊だし!)
もう出てくるだけで大爆笑。「(イギリス人が)皆同じ顔に見える」と金之助のセリフのオチにもなっているのだが、早替わりも含めて八面六臂である。
破壊的に面白かったのは女主人サラの妹・ケイトである。ちょっとイカれているケイトは、金之助にモーションかけに来るんだけど、それがもう!気持ち悪くて可愛くて。
グレイグ先生はシェイクスピアみたいなアタマしているし、サラは鶏のトサカみたいw ビクトリア女王の役はハケ方がワロタ。
ブラッドストリート警部はホームズ風のマントとパイプ。弾丸ロスはセムシに舌なめずりの強盗犯。モラン大佐は話し聞きながら立ち寝。

立ち見も出て満席のパブリックシアター。
震災の影響も受けて、この芝居自体の方向性もかなり変更があったとプログラムに書いてあった。
前回に引き続き、シスカン公演のプログラム代(1000円)は全額寄付されるとのこと。

客席に秋山奈津子さん発見。「キネマの天地」拝見しますよ~ん(浅野さんも出演だ!)