miniな舞台

観劇記録+日記@不定期更新。俳優・内野聖陽さんを勝手に応援中!時々サカナクション。

今後の観劇予定

直近はナシです… コロナめ!

No.348 「血の婚礼」

2011年07月02日 21時59分15秒 | 過去の観劇記録
2011年7月2日(土) マチネ にしすがも創造舎体育館特設劇場 I列 15番

北の兄(倒れる青年)=窪塚洋介、北の女(ふね)=中嶋朋子、ハルキ=丸山智己、トランシーバー少年=田島優成、北の弟=近藤公園、喪服の男(先生)=青山達三、兄さん=高橋和也、姉さん=伊藤蘭、他。
作=清水邦夫、演出=蜷川幸雄。

夏。コインランドリーとビデオショップに囲まれ、点在する自動販売機が白々と灯りをともす路地裏。降りしきる雨の中を鼓笛隊が通り過ぎて行く―。
壊れたトランシーバーで〝どこか〟と交信を続ける【トランシーバー少年/田島優成】は水溜りに倒れこんだ【北の兄/窪塚洋介】と出会い、奇妙な友情を結んでいく。【北の兄】は二年前に【北の女/中嶋朋子】を結婚式場から奪い故郷を捨て上京したのだが、今や二人の愛は冷めてしまっているようだ。コインランドリーの店先。煙草をふかしながら【姉さん/伊藤蘭】が路地の人々をみつめている。その傍らには、腐れ縁の【兄さん/高橋和也】の姿が。ユーモラスでありながら、どこか悲哀のある男女の会話が続く。自殺した妻の葬儀から抜け出してきた【喪服の男/青山達三】を心配して追いかけてくる教え子たち。その騒ぎに路地の住人たちが顔を出したその時、幻の警報が鳴り響き、幻の電車が通過していく…。呆然と佇む人々の前を、雨にうたれながら鼓笛隊が通り過ぎた―。兄想いの【北の弟/近藤公園】に引き連れられて、花嫁に逃げられた【ハルキ/丸山智己】や親族たちが訪ねてくる。かつて、親友だった【北の兄】と【ハルキ】。【姉さん】をはじめ、路地の住人たちを巻き込み、三人は再会を果たすのだった。降り続ける雨と突然の停電が、人々の内に潜む野生を目覚めさせ、そして―。
(あらすじはBunkamura特設HPより)

にしすがも、行ってきました。
故・井上ひさし氏が名付け親の、Bunkamura改修期間限定「大規模修繕劇団」の旗揚げ公演です。

廃校になった学校を利用した「にしすがも創造舎」の体育館。
隣の校舎部分にカフェと、ロビー替わりに使える休憩室がありました(芝居は休憩ナシの100分)
校舎2階の女子トイレに入ったら、もう本当に学校で(当たり前だけど…)薄暗い冷んやりとした廊下に教室の扉。
体育館の中は一応冷房があるものの、蒸し暑い。
ひな壇の客席はパイプ椅子on座布団。どーせなら千鳥配列にしてくれれば。
それと案内の女性のアナウンスが聞き取りづらいぞ!

舞台は凄まじく近いです。1列目・2列目にはビニールシート付。そりゃあれだけ雨降らせればねぇ(7トンだか10トンだかの本水の雨が、芝居の9割近く降り続く)
舞台カミテにはビデオショップ(AV専門店?)、シモテはコインランドリー。回りをコの字形に20数台以上の自販機が囲む。
上からはネオンサインやこいのぼり等がつり下がり、場末の路地裏の、うらぶれた風情が漂う。

雨が降り続く中、トランシーバーを持った少年が、どこかと交信中。薄気味悪い鼓笛隊が通り過ぎる。
少年は、この鼓笛隊の動向を探って本部に連絡している模様。
北の兄と北の女の駆け落ち、北の女の恋人だったハルキ、北の弟・北の女の親戚達をめぐる愛憎劇。この辺は思った以上に分かりやすい感じであった。ハルキはきっと「みそっかす」だったんだと思う。北の兄は年長だったから常にリーダー的存在で、ずっと憧れと憎しみを抱きつづけていたのだろう。北の女との結婚式の最中に花嫁を奪われるという屈辱。
激しい雨が止むと同時に街は停電となり、ロウソクの灯りのもとで、北の兄とハルキとの一騎打ちが行われ、2人は差し違えて倒れる。
コインランドリー店の主・姉さんと、ビデオショップの主・兄さんの2人は煮え切らない関係で、姉さんの方は兄さんにプロポーズして欲しかった模様。だけど兄さんは何においても煮え切らない(^_^;)
だが最後に2人は、先に倒れた男2人に導かれるように同じ道を辿った。

喪服の男(先生)を演じた青山さんが、やはり一枚上手だった。息子を交通事故で亡くし、その2日後に妻は自殺。葬儀から抜け出してきた男。
心配した生徒達に囲まれ、渋々と葬儀に戻っていく。停電後の暗闇を、教え子の少年(秋山拓也)とロウソクを頼りに歩くシーンはセリフ共々染み入った。
先生が見つける謎の電車には、たぶん死者が乗っていたのだ。

窪塚くんは長身で顔ちいさいっ!舞台映えはするがセリフは余り通らない(なにせ滝のような雨だし)
北の兄の、何か世の中をハスに見ているような飄々とした感じが似合っていた。
ワイシャツの下にドライスーツ(?)を着ていたらしく、カテコにはその姿で登場。
北の姉・中嶋朋子さん(そーいえば本水の雨つながりで「オレステス」があるな)やはり薄幸な役はいいな(笑)
トランシーバー少年は田島くん。ずっと濡れてる。彼が報告していた本部はドコ?ナニ?そのトランシーバー、本当に使えてるのかな(雨で壊れてるんとちゃう?)
ハルキ役の丸山くんも何気に良かったです。マジメそうなんだけど、底に秘めてる復讐心で、いわゆる「キレる」感じが。
北の弟・近藤公園さんも、兄と姉のことが心配で、どうにか丸く収まらないかと思ってたのに、この結末。
高橋さんは最初と最後くらいしか… 思ったより出番少なめ。
伊藤さんは停電前の、「姉さんの姉さん」が暴走し始めるシーンから雨に打たれての熱演。
この辺がよーわからん(汗)というか全体的に、よーわからんのです。
鼓笛隊も不気味な存在すぎる。なぜか頭の中に『全共闘』という言葉が浮かんできた。

ま、いつも思うが“本水の雨はセリフが聞き取りづらい!”のが一番です。
それと俳優さん達の体調管理や衣装・美術のメンテナンス…
排水の方は心配なかったけど(笑)

それにしても、この会場で「エレンディラ」上演する予定だったんだよね。
さい芸で良かったです。パイプ椅子とあの蒸し暑さじゃ、4時間耐えれないよん!