2011年5月4日(水・祝) マチネ シアターコクーン 2階 A列 20番
中村橋之助、古田新太、鈴木京香、宮本裕子、大石継太、大門伍朗、市川夏江、大林素子、飯田邦博、塚本幸男、立石凉子、六平直政、瑳川哲朗、他。
作=井上ひさし、演出=蜷川幸雄、音楽=伊藤ヨタロウ、他。
時は幕末。日本橋は駿河越後屋呉服店前の七つ時。たいこもちの桃八(古田新太)が、江戸で指折りの薬種問屋鰯屋の跡取り息子、清之助(中村橋之助)と待ち合わせをしている。折からの雷雨。人々が越後屋の貸し出す番傘をさして行き交うなか、蝙蝠傘をさした清之助が現れる。二人が目指すのは、若旦那ぞっこんの女郎、袖ヶ浦(鈴木京香)がいる品川小菱屋。そこで出会ったひげ侍たちとのひょんな諍いがもとで、二人は品川の沖を漂流するはめに。これが九年にわたる珍道中のはじまりとなった。運良く千石船に拾われて、流れ着いたのは陸中の釜石。旅籠に腰を落ち着けたと思ったのもつかの間、思いがけない災難が二人に次々と降りかかる。若旦那にどんなに手ひどく裏切られても、尽くし続ける桃八。時に離ればなれになりながら珍道中を続ける二人だが、放浪の果てにたどり着いた先に待ち受けるものとは──?
(あらすじは公式HPより)
なんか長かった。3時間30分以上。開演13時30分、終演は17時回ってたな。
ボンボリ下げて定式幕で、の歌舞伎仕立てのコクーンで、例によって例のごとく(笑)ミラー多用の舞台上。
清之助と桃八の、ロードムービー。と言ったらハナシが早いか?
まったく清之助といったら女好きのボンボンで、どー考えても騙されてるだろ?なオンナでも、ちょいといいオンナならイチコロで、それが元で苦難の連続。元はと言えば身から出た錆なんじゃないかと思うが、あれだけあっても無事に江戸に辿り着くところはスゴイぞ(爆)
いかにも大店の跡取り息子が良く似合う橋之助さん。
桃八だってオンナ好き。オカネも大好き。ダンナ大事。鉱山堀りの人足に売られたって許しちゃう信頼っぷりはお見事。また立て板に水のごとく流れ出る大量の台詞と言葉遊びとアドリブと。たいこもち役だから、人のおだて方は任せとけ!です。
袖ヶ浦他数役の鈴木京香さん。歌は… まぁ及第点ですが、東北弁バリバリで清純派を捨てた(!?←いや、もう捨ててるか…)の悪女っぷり。
宮本裕子さんもなかなかのクセ者でしたな。
六平さんの悪役も毎回ながらベタでビバ!です(なんだか意味不明・笑)
井上作品の初期のは結構えげつないエロとグロとナンセンスの世界で、時々置いていかれる感があります(^_^;)
ラストで、江戸に無事たどり着いたのは良いものの、店は無い、両親も亡くなり、妹は行方知れず、さらに江戸じゃなくなり将軍様もいない(明治へと改元)したと知り落ち込む清之助に、桃八が言うセリフがなかなか考えさせられました。
日本人はそれまでの「ちょんまげ・武士・帯刀」から一気に明治時代への変革を成し遂げ、今日(こんにち)のこの急速な近代化へと突き進んできた世界でも類を見ない成長率の国です。言い方を変えれば流されやすいのかも知れませんが、それを良い方向に持って行くチカラ、そして 今、この震災を乗り越えていく力強さや粘り強さと同じベクトルなのでは。
そんなことを思うラストシーンでした。