miniな舞台

観劇記録+日記@不定期更新。俳優・内野聖陽さんを勝手に応援中!時々サカナクション。

今後の観劇予定

直近はナシです… コロナめ!

No.343 「たいこどんどん」

2011年05月04日 23時00分11秒 | 過去の観劇記録
2011年5月4日(水・祝) マチネ シアターコクーン 2階 A列 20番

中村橋之助、古田新太、鈴木京香、宮本裕子、大石継太、大門伍朗、市川夏江、大林素子、飯田邦博、塚本幸男、立石凉子、六平直政、瑳川哲朗、他。
作=井上ひさし、演出=蜷川幸雄、音楽=伊藤ヨタロウ、他。

時は幕末。日本橋は駿河越後屋呉服店前の七つ時。たいこもちの桃八(古田新太)が、江戸で指折りの薬種問屋鰯屋の跡取り息子、清之助(中村橋之助)と待ち合わせをしている。折からの雷雨。人々が越後屋の貸し出す番傘をさして行き交うなか、蝙蝠傘をさした清之助が現れる。二人が目指すのは、若旦那ぞっこんの女郎、袖ヶ浦(鈴木京香)がいる品川小菱屋。そこで出会ったひげ侍たちとのひょんな諍いがもとで、二人は品川の沖を漂流するはめに。これが九年にわたる珍道中のはじまりとなった。運良く千石船に拾われて、流れ着いたのは陸中の釜石。旅籠に腰を落ち着けたと思ったのもつかの間、思いがけない災難が二人に次々と降りかかる。若旦那にどんなに手ひどく裏切られても、尽くし続ける桃八。時に離ればなれになりながら珍道中を続ける二人だが、放浪の果てにたどり着いた先に待ち受けるものとは──?
(あらすじは公式HPより)

なんか長かった。3時間30分以上。開演13時30分、終演は17時回ってたな。
ボンボリ下げて定式幕で、の歌舞伎仕立てのコクーンで、例によって例のごとく(笑)ミラー多用の舞台上。

清之助と桃八の、ロードムービー。と言ったらハナシが早いか?
まったく清之助といったら女好きのボンボンで、どー考えても騙されてるだろ?なオンナでも、ちょいといいオンナならイチコロで、それが元で苦難の連続。元はと言えば身から出た錆なんじゃないかと思うが、あれだけあっても無事に江戸に辿り着くところはスゴイぞ(爆)
いかにも大店の跡取り息子が良く似合う橋之助さん。
桃八だってオンナ好き。オカネも大好き。ダンナ大事。鉱山堀りの人足に売られたって許しちゃう信頼っぷりはお見事。また立て板に水のごとく流れ出る大量の台詞と言葉遊びとアドリブと。たいこもち役だから、人のおだて方は任せとけ!です。
袖ヶ浦他数役の鈴木京香さん。歌は… まぁ及第点ですが、東北弁バリバリで清純派を捨てた(!?←いや、もう捨ててるか…)の悪女っぷり。
宮本裕子さんもなかなかのクセ者でしたな。
六平さんの悪役も毎回ながらベタでビバ!です(なんだか意味不明・笑)

井上作品の初期のは結構えげつないエロとグロとナンセンスの世界で、時々置いていかれる感があります(^_^;)

ラストで、江戸に無事たどり着いたのは良いものの、店は無い、両親も亡くなり、妹は行方知れず、さらに江戸じゃなくなり将軍様もいない(明治へと改元)したと知り落ち込む清之助に、桃八が言うセリフがなかなか考えさせられました。
日本人はそれまでの「ちょんまげ・武士・帯刀」から一気に明治時代への変革を成し遂げ、今日(こんにち)のこの急速な近代化へと突き進んできた世界でも類を見ない成長率の国です。言い方を変えれば流されやすいのかも知れませんが、それを良い方向に持って行くチカラ、そして 今、この震災を乗り越えていく力強さや粘り強さと同じベクトルなのでは。
そんなことを思うラストシーンでした。

No.342 「港町純情オセロ」

2011年05月04日 22時29分38秒 | 過去の観劇記録
2011年5月3日(火・祝) ソワレ 赤坂ACTシアター 1階 M列 13番

藺牟田オセロ=橋本じゅん、モナ=石原さとみ、伊東郷(通称:ミミナシ)=田中哲司、汐見秀樹=伊礼彼方、三ノ宮亙=粟根まこと、伊東絵美=松本まりか、沖元准=大東俊介、他。
原作=W.シェイクスピア、翻訳=松岡和子、脚色=青木豪、演出=いのうえひでのり、音楽=岡崎司、他。

時は1930 年、世界大不況の真っ只中。場所は戦前の関西のどこか、ヤクザたちが集う港町。
日本人とブラジル人のハーフ藺牟田オセロ(橋本じゅん)は藺牟田組組長。抗争で痛めた体を治療する為に入院した病院で、医院長の一人娘・モナ(石原さとみ)に出会う。退屈な毎日を送る箱入り娘のモナは、自分の知らない刺激的な世界の話を聞かせてくれるオセロに惹かれ、結婚。オセロも若くて屈託のないモナを気に入り溺愛している。
そんな中、次期若頭候補である藺牟田組ナンバー2・伊東郷、通称:ミミナシ(田中哲司)はオセロの不在中、代わって界隈をおさめていた。しかし、同じく藺牟田組で異色の一流大学出身エリート・汐見秀樹(伊礼彼方)から聞いた、組長の言葉に驚愕する。
「次期若頭は汐見だ」
オセロの右腕として藺牟田組に仕えてきたのに、ケンカも出来ない汐見がなぜ…?
実は、ある事からオセロを憎み、晴らすチャンスを伺っていたミミナシだったが、これをきっかけに心の奥底に眠らせていた憎しみが一気に溢れ出し、ついにオセロをおとしめる陰謀を企てる・・!!
オセロとオセロを取り巻く全てに憎悪するミミナシは、汐見、モナ、そして倶楽部のオーナー・三ノ宮亙(粟根まこと)、ミミナシの妻・伊東絵美(松本まりか)、ミミナシを慕って行動を共にする絵美の弟・沖元准(大東俊介)らをも言葉巧みに操り、自らの悪計のコマとして彼らを動かし始める─。
誰もが翻弄され、愛と憎しみが絡み合う中、オセロと最愛の妻・モナが辿り着く先は…!?
(あらすじは赤坂ACTシアターHPより)

まずは。じゅんさんおかえり~!!
でした。
腰痛(!)で入院していたオセロ親分の設定すら、じゅんさんへの愛情だと感じてしまふ(笑)
前より無理な動きが少なくなった気もするけど、とにかく じゅんさん復帰おめでとうございます。
このオセロがじゅんさんで良かったと思う。ブラジル人と日本人のハーフで、どちらの国にも馴染めず、ヤクザになるしかなかった男の悲しい一代記。モナへの一途な思いも、嫉妬に狂い心に闇を作ってしまった 純粋な男でした。
スーツ姿も良かったけど、一番良かったのは着流しですだw
モナ役の石原さとみさんも良かった~。本当に屈託がなくてウラがなくて。オセロを愛していて。彼の本当の姿を知っていたのはモナだけ。ああ、だから信じてやれば良かったのに…オセロよ。
ミミナシの田中さん、すごい熱演(ていうか主役ってこの人か?と思うほど)。あるキッカケでオセロへ復讐心を持ち、それを募らせていくのだけれど、狡猾さが真綿で首を絞めるようで。ただセリフが多いせいか、早口になりがちで勿体ない。もっと凄みを見せて欲しかった。
汐見役の伊礼くんだけど、やたら外国語を使いたがるインテリヤクザ役がピッタリ♪(本当にハーフなのにね…)
今回 粟根さんが!(爆)いつもはカブリモノ担当の逆木さんや村木さんが、結構マヂメな役だったので、粟根さんがカブリモノ担当ですた。それと眼福(?)のフンドシ姿。シモテ袖花道が結構おいしい。
沖元准役の大東くん、オカマの設定なので常に身をクネクネさせていて、ミミナシ(義兄)や汐見に色目使い。愛して欲しかった男に利用された、彼も悲しい男でした。

昭和初期の設定なので、古き良き昭和の雰囲気は心地よかった。やっぱりヤクザの世界なので、「仁義なき戦い」とか、ああいう風も。
それと、原作ではハンカチがキーアイテムですが、この作品は… 「え、それ?(笑)」みたいな。

ラスト、モナを寝室で殺そうとするシーンで、原作にもある「今日はやめて。せめて明日にして」とかそのままで良かった。
それと村木さんが良いセリフで〆てくれて、ジーンとしました。

だけれども~。なんか消化不良というか。やっぱり新感線には痛快娯楽大作を期待してしまって。ここ近年では「薔薇とサムライ」が好きだっただけに、シェイクスピアとの相性が悪いのかなぁ?
同じ いのうえ演出での「リチャード三世」もビミョーにイマイチ感あったし。

客席に演劇評論家の扇田先生と、脚色の青木豪さんをお見かけする。演劇関係者も多数いた様子でした。