【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

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押田茂實『法医学現場の真相-今だから語れる「事件・事故」の裏側』祥伝社

2010-05-07 10:00:51 | 政治/社会

            法医学現場の真相 今だから語れる「事件・事故」の裏側

 法医学の分野で数々の司法解剖、DNA鑑定、その他の種々の鑑定、医療事故防止の取り組みを行ってきた著者の事件簿です。

 扱われた仕事の主なものは、「足利幼女殺人事件(1990年)」、「飯塚事件(1992年)」、「大分みどり荘短大生殺人事件(1981年)」、「保土ヶ谷事件(1997年)」でのDNA鑑定、「トリカブト事件(1986年)」、「山中事件(1972年)」、「福井女子中学殺人事件(1986年)」、「東電OL事件(1997年)」、「袴田事件(1966年)」での法医解剖、{全日空機雫石事故(1971年)」、「日航機御巣鷹山墜落事故(1985年)」、「中華航空機墜落事故(1971年)」、「阪神・淡路大震災(1995年)」での事故現場での医療行為、そして医療事故の解析です。

 足利事件では、著者による検査報告書、押田鑑定が最高裁によって黙殺されたこと、そのこともあって菅谷さんの無罪判決がのびてしまったこと、「東電OL事件」の最高裁判決でも(2003年)押田鑑定が無視されたこと(この事件は再審請求中)、「福井女子中学殺人事件」では死体解剖写真の提出がないまま控訴審が終了してしまったこと、など司法現場の矛盾をつく、リアルなレポートになっています。

 「日航機御巣鷹山墜落事故」や「阪神・淡路大震災」の現場で、遺体の検索・識別はどのように行われたのか? この種の事故での外国の遺体処理の仕方と、日本のそれとの大きな違いは何か? 頻出する医療事故はなぜ起きるのか? 筋肉注射はなぜ行われなくなったのか? 法医学の現場で40年第一線で獅子奮迅の努力をしてきた著者の豊富で貴重な体験から得られた知見が、説得力をもって語られています。


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