【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

中村哲『アフガニスタンで考える』岩波ブックレット、2006年

2019-12-12 21:02:35 | 政治/社会


 アフガニスタンのことが、相変わらず知られていません。正確な情報が報道されていません。

 著者が日本にたまに戻ってくると「アフガンは落ち着きましたか?」などときかれ愕然とするそうです。そんなに報道がないのかと。

 実態は米軍、英軍の介入でますます泥沼化しているそうです。診療所も閉鎖せざるをえなくなったところが出ているそうです。飢餓も拡大しているそうです。

 食糧の確保、灌漑の普及、成果は徐々にでてきているというのがせめてものなぐさめです。米軍の空爆でタリバンが倒され「正義のアメリカ」により、アフガンに「自由とデモクラシー」がもたらされたかのような誤解が蔓延しています。そういう最中、国連の経済制裁があり、国民の困難は極まっているそうです。

 著者の現地での医療と性格支援活動の鉄則は、「異なる文化・風習に接して単に『違い』でしかないものを『善悪や優劣』にわけてとらえないこと」、「制約された文化・風習の中で『その患者にとって最善のものは何なのか』を探り準備すること」だそうです。

 教訓は「お金さえあれば幸せになれる」「武力があれば自分の身を守れる」というのはどちらも「迷信」の類だと著者は言っています。

 実践家ゆえに、言葉に力があり、無駄がありません。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿