【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

古賀茂明『日本中枢の崩壊』講談社、2011年

2012-07-27 00:09:48 | 政治/社会

             

  著者は強い「危機意識」をもってこの本書をあらわした。

  日本の凋落、没落、世界の変化に対応できず、いまやその急展開の後塵を拝するかのような位置にある。究極の原因は行政システムの立ち遅れとみている著者は公務員改革が喫緊の課題と考えていた。

  民主党は当初、政治主導でそれを実行しようとしていた。ところが、民主党のこの謳い文句はいつの間にか棚あげされてしまった。「中枢」に危機感が欠如している。現役官僚だった著者は民主党政権が陥った改革の後退に公然と批判の矛先をむけ、個人の立場から国会やマスメディアで持論を展開。直後、著者は国家公務員改革推進本部事務局審議官の任を解かれ、経産省の「大臣官房付」というポストにおかれ、事実上仕事を干されることとなった。福田康夫政権下で内閣に出向(2008年7月)して以後、国家公務員制度改革にとりくんできたにもかかわらず、民主党政権に交替した約3ヶ月後の2009年末にこのようなこととなった。

  本書最終原稿チェック中、2011年3月11日、東日本大震災に遭遇。行政の体たらくはここにも現れた。原子力安全・保安院は経産省傘下にあり、原子力行政を進める側の資源エネルギー庁も同じ屋根の下にある。「日本中枢」を支えていたはずだった官僚は、まことに信頼のできない一群であることが図らずも露呈するかたちとなった。日本国全体がメルトダウンしそうな状況なのだ、と著者は言う。

  本書はわが国の政治と行政の怠慢ぶりを怒りを、自身の処遇をも客観的にみつめながら告発している。各章の表題を示すと以下のとおり。「序章:福島原発事故の裏で」「第1章:暗転した官僚人生」「第2章:公務員制度改革の大逆流」「第3章:霞が関の過ちを知った出張」「第4章:役人たちが暴走する仕組み」「第5章:民主党政権が躓いた場所」「第6章:政治主導を実現する3つの組織」「第7章:役人-その困った生態」「第8章:官僚の政策が壊す日本」「終章:起死回生の策」「補論-


最新の画像もっと見る

コメントを投稿