【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

高島俊男『せがれの凋落(お言葉ですが⑦)』文藝春秋、1999年

2012-03-09 00:01:29 | 言語/日本語

 
                

 シリーズ『お言葉ですが・・・』はいずれも面白いのですが、この巻はなかでも話題が豊富です。


 いくつか拾ってみると。11月3日が文化の日で、これは憲法公布の日ですが、同時に天長節(明治天皇の誕生日)、公には明治天皇誕生日と文化の日とは何の関係もないことになっているのですが、「しらじらしい」説明、とあります(「緑の日」)。
 7月と8月と続けて31日が続くのはどうしてなのでしょうか、もともと1年はMARCH(日本では3月)に始まり、FEBRUARY(日本では2月)に終わるらしいのですが、日本ではJANUARYを1月として数で数えるようになっているので変なことになっています、和暦に「月」の名称が残っているので混乱するもとですが、もともと陰暦は月で数え、15夜は毎月の15日目に、3日月は3日目にというふうになっていたとか(「ジュライ、オーガストの不思議」)。

 戒名は自分でつくってもよいが、わずかな例をのぞくと、そうなっていない、戒名をみるとだいたいの値段がわかる(「院殿大居士一千万円」)。墓誌銘と墓碑銘の違いは何か(「墓誌銘」と「墓碑銘」)。臥薪嘗胆という語の由来について、『史記』『呉越春秋』には「嘗胆」はあるが「臥薪」はない、「臥薪」が「わが身をくるしめてこころざしをはげます」の意に用いられ、「嘗胆」と結び付けられて「臥薪嘗胆」という語ができるのは『史記』などより千年も後のこと(「臥薪嘗胆」「日本の辞書は甘い」)。学者、研究者は「位相」という用語が好きらしいが、こけおどかしにすぎないのではないか(「『位相』ってなんだろうね」)。

 他に「五十をすぎたおばあさん」「『ゲキトバ』新説」「千円からおあずかりします」「『食う』の悲運」「せがれの凋落」「みどりみなぎる海原に」、いずれも好エッセイです。そして為になるお話です。


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