日本語にまつわる事柄を、著者がつれづれに書いてきたものを編集してできあがった本。
「ことばは深い」「ことばと遊ぶ」「ことばの道草」「ことばの知恵」とグループ分けされているものの、全体をながれるコンセプトがいまひとつはっきりしない。
読者はこのような本に出会うと、いくつか初めて分った事柄(「転失気」「二豎(にじゅ)」の意味、「狼狽」の語源など)、曖昧だったことをすっきりとさせてくれた事柄(大乗仏教と小乗仏教の区別)、もうすでに知っている事柄、というふうに仕分けしながら読み進めることになる。すでに知っている事柄でも、こういうふうに書くとより理解が深まるものか(句読点の付け方)、と感心させられることもあった。
ひとつの事項が2ページほどでまとめられているので、電車のなかで、あるいはちょっとした開いた時間に読むにはまことに都合がよい。
最後に「小説家の眼」として松本清張の「黒地の絵」を分析し、この小説のテーマ、モチーフを浮き彫りにしている。この分析は面白く、こういう分析をもっとやってくれれば、読者としては有難い。
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