このブックレットでわかったことを書きます。
象徴天皇を規定した1条と、戦争放棄をうたった九条とはワンセットでした。極東委員会による天皇の戦争責任を回避する目的で、恒久平和と交戦権の放棄を国際的に知らしめるためにマッカーサーが捻り出した案がこれだったとのこと。
この話は小森陽一「天皇の玉音放送」にもありました。そして、平和憲法制定の背景には、沖縄の基地化(「沖縄人は日本人ではない」‐マッカーサーの認識)もあったのです。
その後、九条問題は戦争放棄と軍備不保持の件が一人歩きし、天皇制、戦争責任、沖縄の基地化と切り離され、結果として「敗戦後の日本が国際社会に復帰するために必要な憲法とは何か、といった視点が欠け」(p.39)しまったとのこと。
「日本国憲法の平和主義は、戦後世界で日本が生きていくためのパスポートであったことをあらためて確認」(p.47)しなければならないのだそうです。
この本が出版された2006年は、憲法制定60周年、わずか60年の年月しかたっていないのに、憲法九条の発案者が誰であったのか、幣原首相なのか、吉田茂外相(当時)なのか、はたまたマッカーサーなのかが、最近まで分からなかったというのですから、これは政治が密室で行われていたことの証ではないでしょうか?