【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

「怪談乳房榎(かいだんちぶさえのき)」(中村勘九郎襲名記念・赤坂大歌舞伎[赤坂ACTシアター])

2013-03-12 00:02:44 | 古典芸能

              

  赤坂ACTシアターで「怪談乳房榎(かいだんちぶさえのき)」(中村勘九郎襲名記念・赤坂大歌舞伎)が公演されている。歌舞伎を観に行くのは何年ぶりだろうか。今回は、昨年亡くなった中村勘三郎の二人の息子さん、勘九郎と七之助が出演と言うこと、とくに勘九郎の襲名記念ということで、出かけることにした。
  舞台は赤坂ACTシアターで、歌舞伎座ではない。歌舞伎にしてはやや舞台の横幅が狭い。また、花道がない。いろいろ制約がある。

 しかし、歌舞伎の雰囲気は、十分に醸し出されていた。花道はないが、観客席に入る入口から舞台までの通路が利用され、やや見にくいとはいえ、舞台と観客は一体になれる。

 「怪談乳房榎」の原作は明治期の人情噺の名人といわれた三遊亭円朝。
 花見客で賑わう向島の墨田堤。評判の絵師菱川重信(中村勘九郎)の美貌の妻お関(中村七之助)が、生まれたばかりの真与太郎を抱き、花見がてら梅若塚へ参詣の途中、茶屋に立ち寄ります。折から通りかかったお関の従兄弟にあたる松井三郎(片岡亀蔵)。三郎はお関の伯父にあたり、お関はこの場で三郎から国元の凶事を耳に入れます。それは谷家の金蔵に盗賊が入り、その賊がどうやら佐々繁と名乗る男で、家来の蠎(うわばみ)の三次(中村勘九郎)とともに怪しい。
  お関は、佐々を捕らえようと諸国を遍歴中だった三郎と再会を約し見送ったところ、彼女はそこで泥酔の国侍に絡まれますが、深編笠の浪人に救われます。お関に一目惚れした浪人の磯貝浪江(中村獅童)は、重信に弟子入りします。お関への接近が目的でした。
  
一方、絵師重信は落合村の南蔵院から新しく建てられた本堂の天井画頼まれていました。その南蔵院の近くの料亭で、蠎の三次と佐々繁とがばったり出会います。この佐々こそが、浪江その人でした。遊びに金を使いはたしていた三次は、浪江を脅して金を無心します。浪江は浪江で過去悪事がばれるのを恐れ、三次に口止め料を払います。三次は金を受け取って料亭を出ていきますが、そこに呼び出された正助がやってきます。
 天井画の完成が間近であるので、浪江は下男正助(中村勘九郎)を脅し、いまとなっては邪魔になった重信殺害を手伝わせます。

 悪業を隠してお関と夫婦になった浪江でしたが、今度は正助に四谷角筈十二社の滝壺へ真与太郎を棄てにいかせます。真与太郎が生きていては、仇討の恐れがあると思ったからでした。そして、その正助も殺害しようと、悪に加担する三次に後を追わせますが・・・・。

  この芝居では、勘九郎が名人絵師・菱川重信、人はよく、重信殺しに加担する正助、ゆすりを働く三次の三役を、演じ分ける。その早変わりには、驚いた。悪党の三次になっていた勘九郎が、いつの間にか朴訥な下男正助になりかわる。服装をどうしてあのように次々と変えられるのか。そして、性格の全くことなる、重信、三次、正助が上手に演じ分けられていた。

 また、舞台にざあざあと流れる新宿の脇の滝のなかでの、びしょぬれ姿での演技も迫力満点。七之助のお関の立ち居振る舞いの美しさにも惹かれた。勘九郎は、父親の声にかなり近くなり、演技の仕方も似てきている。限りなく父親に近づきつつある。

 ナカムラヤー。

■ 出演(中村勘九郎 中村七之助 片岡亀蔵 中村獅童 ほか)

 


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