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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

ハンドルクライシス トラック物流危機 24年問題編③ 規制緩和と荷主絶対主義の末に

2024-02-02 07:10:34 | 働く権利・賃金・雇用問題について
ハンドルクライシス トラック物流危機 24年問題編③ 規制緩和と荷主絶対主義の末に

「うちの社は幸いにして、荷主と価格交渉ができて、昨年春から運賃が上がった」
そう話すのは、神奈川県内で中型トラックの運送会社を営む女性Cさん=60代=です

運賃のダンピング
Cさんは「4月から運転者の労働時間規制が始まると、残業ができなくなる。仕事を取ってきても同じドライバーで回せなくなる。だから、人を増やさないといけないから、運賃が上がらないと困る」といいます。
同社では荷主との交渉で、運賃を5%上げることができました。
「目標は10%だった。夏冬1カ月ずつのボーナスをもっと出したい。カツカツの中から給料を捻出するのでなく、元手に余裕を持ちたい」
運転者不足の解消は、所得の引き上げなしにはありえません。そのためには適正な運賃を荷主が払う必要があります。しかし、荷主絶対優位の構造が妨げとなっています。
中小企業庁は1月12日にアンケート・ヒアリング結果を発表しました。燃料代や人件費などが上昇する中、発注者(荷主)は、価格転嫁を認めてくれたか、と尋ねたものです。その結果、「トラック運送業」は27業種の中で最下位でした。ヒアリングしたトラック運送業者のうち計18%が「発注減少や取引停止を恐れ、交渉を申し出なかった」「交渉を申し出たが、応じてもらえなかった」となっています。
大阪のトラック運転者Bさん(56)は、「荷主の企業が真っ先にコストカットするのが輸送費。運賃は30年前から変わってないし、むしろ下がっている。規制緩和でトラックが増えて、ますます買いたたかれている」と語ります。
1994年は4万5000ほどだったトラック運送事業者が2020年には6万2844に。90年からの規制緩和は無秩序な過当競争を呼び、運賃のダンピングを引き起こしました。



能登半島地震の被害があった石川県七尾市から富山県方面に向かうトラック

足元を見る「水屋」
「水屋(みずや)」と呼ばれる業者の存在を見逃せません。「水屋」とは、運送業者でありながらトラックを持たず、荷物の情報で手数料を得る業者です。
Bさんは「ある業者が『帰りのトラックの荷物が欲しい』と電話する。水屋は『じゃあ、この番号に電話して』と。そこにかけたら『次はこの番号に』と、数件繰り返して荷主につながる。電話のたびに何千円か口銭が水屋に渡る」と解説します。
「行きはともかく帰りの荷物が決まらず困っているトラックがいっぱいある。その日暮らしでしのぐ運送業者がいる。そういう業者の足元を見る商売」とBさんはいいます。
運転者不足が起きるとされ「物流の2024年間題」。政府や多くのメディアが、“宅配便が滞る”といった論調です。
全日本建設交運一般労働組合(建交労)の鈴木正明書記次長は「政府の対策は、とんちんかん。例えば、宅配の荷物を『置き配』にすれば、消費者にポイント付与する事業に45億円も使うのにはあきれる」と指摘します。
「24年問題が間うているのは低すぎる運賃と給料をどうするかだ。政府が、荷主絶対の商慣習の是正に本腰を入れるべきだ」と語ります。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年2月1日付掲載


運転者不足の解消は、所得の引き上げなしにはない。そのためには適正な運賃を荷主が払う必要があり。しかし、荷主絶対優位の構造が妨げに。
90年からの規制緩和は無秩序な過当競争を呼び、運賃のダンピングを。
全日本建設交運一般労働組合(建交労)の鈴木正明書記次長は「24年問題が間うているのは低すぎる運賃と給料をどうするかだ。政府が、荷主絶対の商慣習の是正に本腰を入れるべきだ」と。

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