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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

コロナ禍と観光産業① 投機的動きの規制こそ

2021-10-18 07:41:55 | 新型コロナウイルス
コロナ禍と観光産業① 投機的動きの規制こそ
新型コロナウイルス禍で苦境の観光産業の現在と今後について、神戸松蔭女子学院大学元教授(都市計画学)で、京都・まちづくり市民会議共同代表の中林浩さんに聞きました。
(国民運動委員会 高瀬康正)

京都・まちづくり市民会議共同代表 中林浩さんに聞く

―岸田文雄新政権は「GoToトラベル」事業を再開しようとしていると報道されています。どう考えますか。
「GoTo」事業は、「コロナ収束後」を前提に安倍晋三前々政権が打ち出したものです。菅義偉前政権は、感染が深刻な事態になるに至ってもやめず、医療ひっ迫を招きました。仮に再開するなら、感染拡大との関係を科学的に検証する必要があります。
また、実施によって観光産業にどのような需要刺激を与え、どのような効果があったのかなどの検証も必要です。それを抜きにした再開は慎重にすべきでしょう。

商業主義進む
もともと観光開発は「観光需要を強力に喚起し、再び観光を成長軌道に乗せる」(2020年版「観光白書」)との商業主義の政策発想で進められてきました。観光をビジネスとしてだけ捉えて、観光客を増やすことを追求する大盤振る舞いが感染を広げたのです。また、観光開発の名のもとに貴重な自然環境や文化財を損ねてきました。
「観光立国推進基本計画」(17年3月閣議決定)は、訪日外国人旅行者数の目標を20年に4000万人、30年に6000万人と設定しました。入り込み客数の目標を軸に観光政策を立てているのです。10年以降は、オーバーツーリズム(観光公害)が地球規模で起こり、日本もそれに巻き込まれました。そこにコロナ危機、パンデミック(世界的大流行)が起こりました。この二つが関連しながら複雑な事態になっています。このことを正確に捉え、検証することが求められています。



仁和寺門前の高級ホテル建設予定地(中林浩氏提供)

トラブル続発
―観光都市である京都市は、オーバーツーリズムの典型といわれていますが…。
京都におけるオーバーツーリズムについては、第1に、16年ごろから「民泊」が急増し、住宅地の中に混入し、路地裏にも入り込みました。管理者が近くにいないヤミ民泊でポヤ騒ぎが起きるなど各種のトラブルが発生しました。
第2に、高層ホテルが林立し、京都駅南側地域や中心部の幹線道路沿いに建設が進みました。観光が下火になれば、ワンルームマンションへの転用をもくろむ低質なものもあります。
第3に、特定の観光スポットの混雑です。祇園・清水寺周辺の三年坂、嵐山の渡月橋周辺ではかつてないほど混雑しました。新型コロナウイルス感染症のまん延は、こうしたことに警鐘を鳴らすものとなりました。
オーバーツーリズムに苦しんでいたスペインのバルセロナ市のように、ホテルと観光客の抜本的な規制を行うべきでした。しかし、京都市は土地・建物利用のコントロールを事実上放棄しました。
政府や京都市は、「観光行政」といってはいるものの、国民や住民、また旅行客の生活を豊かにすることや“充実した旅”を第一に考えているわけではありません。本当に観光を重視するなら、もっと景観や文化財を大切にし、住民生活の中から醸し出される風物を豊かにする施策を推進してきたはずです。
私は、「古都京都の文化財」の一つで、京都市右京一区御室にある仁和寺の門前にホテルを建てることに反対する運動に参加しています。仁和寺は、国宝とされる金堂など多くの文化財があります。その南側に隣接する民有地に東京資本が抵当権を取得し、地上3階建てで、建築基準法の定める2倍の面積をもつ高級ホテルを建設しようとしています。さらに、祇園や二条城周辺では超高級ホテル建設の動きもあります。例えば、二条城の東側に開業した「ホテルザ三井京都」は、最高級スイートルームが、1人1泊130万円だと伝えられています。
こうした動きは、コロナ後を見据えての投機的な活動の一環とみられます。「とくに数を減らすべきは小規模事業者」との見解を持つ菅前首相のブレーンといわれるD・アトキンソン氏の主張が色濃く反映しています。(つづく)(2回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年10月15日付掲載


政府や京都市は、「観光行政」といってはいるものの、国民や住民、また旅行客の生活を豊かにすることや“充実した旅”を第一に考えているわけではない。
本当に観光を重視するなら、もっと景観や文化財を大切にし、住民生活の中から醸し出される風物を豊かにする施策を推進するはず。
すすめてきたのは劣悪な「民泊」で住民に迷惑をかける、一方で高級ホテルの建設。お金さえ落としてくれればいいというもんじゃない。

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