希望をもてる日本へ 5つの改革 第4回【自然と共生】
10月までに実施される総選挙に向けて日本共産党が提案した「五つの改革」を紹介するシリーズ。今回は提案4「地球規模の環境破壊を止め、自然と共生する経済社会をつくる」です。
【グリーン・リカバリー】(環境に配慮した景気回復)
●石炭火力の計画的な廃止、再生エネルギー普及で、50年CO2排出実質ゼロを実現。
●原発再稼働ストップ、原発ゼロの実現。
●人も動物も環境も、みんな健康に。至急ワンヘルスで対処する。
地球環境の破壊を止める
1年余で感染者1億2千万人近く、死者250万人をもたらした新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)。背景に地球規模の環境破壊があることは、今や誰も否定できない共通認識になっています。
ある時点の人間の社会・経済活動を維持するには地球何個が必要かを調べたデータがあります。エコロジカル・フットプリントと呼ばれ、「人間の活動が地球環境を踏みつけにした足跡」のことです。
それによれば1961年には地球が0・73個あれば足りていました。それが70年に1個を突破し、2017年には1・73個になりました(グラフ)。もし全人類が米国並みに資源を消費すれば5・03個、日本並みなら2・91個の地球が必要だといいます。
地球温暖化(気候変動)も人ごとではありません。従来は地表の気温上昇の一部を海が吸収してきました。それが限界に達し、海水温が急上昇。特に顕著なのが日本近海です。
海水温上昇で狂暴化した19年10月の台風19号。東日本の71河川、142カ所が決壊し、死者・行方不明者107人となりました。東京湾に接近したのは干潮時。もしこれが満潮時なら破滅的な被害になったといわれます。
産業革命以降に急速に拡大した大量生産・大量消費・大量廃棄の経済。利潤最優先の資本主義経済システムの下で、人間と自然の均衡が失われました。いま猛威をふるう新型コロナを抑えたとしても、根本原因に対処しなければ、次の感染症の流行は避けられません。
新たな対処法として提起されているのが
「ワンヘルス」(一つの健康)です。たった一つの地球で、人間の健康、動物の健康、自然(生態系)の健康を一体のものとしてとらえ、保全すべきだという考え方です。今回の「提案」は、この考え方も取り入れています。
緊急ワクチン接種センターとなった英バーミンガムのリッチフィールド大聖堂=1月15日(ロイター)
人も動物も環境も一つ「ワンヘルス」の考え方
WWF(世界自然保護基金)ジャパン野生生物グループ 浅川陽子さん
いま新型コロナウイルス感染症が大きな問題となっています。最近は毎年、五つ以上の新たな感染症が発生し、うち一つがパンデミックとなっています。哺乳類、鳥類が保有する未知のウイルスのうち人間に感染しうるものは80万をも上回るとみられています。
「ワンヘルス」とは、人の健康、動物の健康、生態系の健康を一つの健康と捉える概念です。生態系を健全なものにしなければ、動物由来の新たな感染症のパンデミックは予防できないからです。
2004年に米ニューヨーク市のマンハッタンで開かれた国際会議で「マンハッタン原則」が採択され、ワンヘルスに取り組む12項目の行動計画が定式化されました。10年に名古屋で開かれた生物多様性条約第10回締約国会議が採択した「愛知目標」も、ワンヘルスに共通する目標が掲げられています。今回の新型コロナ禍でワンヘルスが改めて注目されています。
ただ「理念としては分かるが、問題が大きすぎ、個々の市民がどう行動すればいいか分からない」と思う方も多いでしょう。WWFが取り組んでいることの一つは、自然由来の食物や製品を買う際に認証マーク(エコラベル)の付いた商品を選ぶ働きかけです。
例えば熱帯林破壊を起こしうるパーム油は、カップラーメンなどの食品や化粧品など、いろんなものに使われています。これらを買う時はRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)のマークが付いた商品を選んでください。
持続可能な方法で作られた木材や紙製品にはFSC🄬(森林管理協議会)のマーク、持続可能な水産物にはMSC(海洋管理協議会)のマークがあります。
日本は、サル、カワウソ、トカゲ、カメなど、海外原産の動物がペットとして輸入、取引される輸入大国の一つです。これらの野生生物の輸入規制も重要です。
今回の提案でワンヘルス問題を取り上げていただいたことは大変うれしいです。ぜひ推し進めてほしいです。
「しんぶん赤旗」日曜版 2021年3月7日付掲載
ある時点の人間の社会・経済活動を維持するには地球何個が必要かを調べたデータ。
2017年には1・73個になりました(グラフ)。もし全人類が米国並みに資源を消費すれば5・03個、日本並みなら2・91個の地球が必要だと。
人も動物も環境も一つ「ワンヘルス」の考え方。
日本は、サル、カワウソ、トカゲ、カメなど、海外原産の動物がペットとして輸入、取引される輸入大国の一つです。これらの野生生物の輸入規制も重要。
カップラーメンで使われているというパーム油。家にあるカップラーメンの原材料にはパーム油はなかったようです。
10月までに実施される総選挙に向けて日本共産党が提案した「五つの改革」を紹介するシリーズ。今回は提案4「地球規模の環境破壊を止め、自然と共生する経済社会をつくる」です。
【グリーン・リカバリー】(環境に配慮した景気回復)
●石炭火力の計画的な廃止、再生エネルギー普及で、50年CO2排出実質ゼロを実現。
●原発再稼働ストップ、原発ゼロの実現。
●人も動物も環境も、みんな健康に。至急ワンヘルスで対処する。
地球環境の破壊を止める
1年余で感染者1億2千万人近く、死者250万人をもたらした新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)。背景に地球規模の環境破壊があることは、今や誰も否定できない共通認識になっています。
ある時点の人間の社会・経済活動を維持するには地球何個が必要かを調べたデータがあります。エコロジカル・フットプリントと呼ばれ、「人間の活動が地球環境を踏みつけにした足跡」のことです。
それによれば1961年には地球が0・73個あれば足りていました。それが70年に1個を突破し、2017年には1・73個になりました(グラフ)。もし全人類が米国並みに資源を消費すれば5・03個、日本並みなら2・91個の地球が必要だといいます。
地球温暖化(気候変動)も人ごとではありません。従来は地表の気温上昇の一部を海が吸収してきました。それが限界に達し、海水温が急上昇。特に顕著なのが日本近海です。
海水温上昇で狂暴化した19年10月の台風19号。東日本の71河川、142カ所が決壊し、死者・行方不明者107人となりました。東京湾に接近したのは干潮時。もしこれが満潮時なら破滅的な被害になったといわれます。
産業革命以降に急速に拡大した大量生産・大量消費・大量廃棄の経済。利潤最優先の資本主義経済システムの下で、人間と自然の均衡が失われました。いま猛威をふるう新型コロナを抑えたとしても、根本原因に対処しなければ、次の感染症の流行は避けられません。
新たな対処法として提起されているのが
「ワンヘルス」(一つの健康)です。たった一つの地球で、人間の健康、動物の健康、自然(生態系)の健康を一体のものとしてとらえ、保全すべきだという考え方です。今回の「提案」は、この考え方も取り入れています。
緊急ワクチン接種センターとなった英バーミンガムのリッチフィールド大聖堂=1月15日(ロイター)
人も動物も環境も一つ「ワンヘルス」の考え方
WWF(世界自然保護基金)ジャパン野生生物グループ 浅川陽子さん
いま新型コロナウイルス感染症が大きな問題となっています。最近は毎年、五つ以上の新たな感染症が発生し、うち一つがパンデミックとなっています。哺乳類、鳥類が保有する未知のウイルスのうち人間に感染しうるものは80万をも上回るとみられています。
「ワンヘルス」とは、人の健康、動物の健康、生態系の健康を一つの健康と捉える概念です。生態系を健全なものにしなければ、動物由来の新たな感染症のパンデミックは予防できないからです。
2004年に米ニューヨーク市のマンハッタンで開かれた国際会議で「マンハッタン原則」が採択され、ワンヘルスに取り組む12項目の行動計画が定式化されました。10年に名古屋で開かれた生物多様性条約第10回締約国会議が採択した「愛知目標」も、ワンヘルスに共通する目標が掲げられています。今回の新型コロナ禍でワンヘルスが改めて注目されています。
ただ「理念としては分かるが、問題が大きすぎ、個々の市民がどう行動すればいいか分からない」と思う方も多いでしょう。WWFが取り組んでいることの一つは、自然由来の食物や製品を買う際に認証マーク(エコラベル)の付いた商品を選ぶ働きかけです。
例えば熱帯林破壊を起こしうるパーム油は、カップラーメンなどの食品や化粧品など、いろんなものに使われています。これらを買う時はRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)のマークが付いた商品を選んでください。
持続可能な方法で作られた木材や紙製品にはFSC🄬(森林管理協議会)のマーク、持続可能な水産物にはMSC(海洋管理協議会)のマークがあります。
日本は、サル、カワウソ、トカゲ、カメなど、海外原産の動物がペットとして輸入、取引される輸入大国の一つです。これらの野生生物の輸入規制も重要です。
今回の提案でワンヘルス問題を取り上げていただいたことは大変うれしいです。ぜひ推し進めてほしいです。
「しんぶん赤旗」日曜版 2021年3月7日付掲載
ある時点の人間の社会・経済活動を維持するには地球何個が必要かを調べたデータ。
2017年には1・73個になりました(グラフ)。もし全人類が米国並みに資源を消費すれば5・03個、日本並みなら2・91個の地球が必要だと。
人も動物も環境も一つ「ワンヘルス」の考え方。
日本は、サル、カワウソ、トカゲ、カメなど、海外原産の動物がペットとして輸入、取引される輸入大国の一つです。これらの野生生物の輸入規制も重要。
カップラーメンで使われているというパーム油。家にあるカップラーメンの原材料にはパーム油はなかったようです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます