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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

熊本地震1年 復興への課題② 益城町県道4車線化―住民無視の事業に苦悩

2017-05-31 08:21:56 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
熊本地震1年 復興への課題② 益城町県道4車線化―住民無視の事業に苦悩

熊本地震によって大きな被害を受けた熊本県益城(ましき)町で、住民を無視した県道の4車線化拡幅事業が推し進められています。日本共産党熊本地震被害国会調査団の聞き取りでも、153億円もかける「復興便乗型」大型開発に対する疑問が噴出。元の場所で生業(なりわい)と生活を再建しようと足を踏み出したのに、立ち退きを迫られる多くの住民らは、苦悩に揺れています。

生活再建に逆行
町西部の県道沿いで美容院を営む村上勇さん(58)=美容師=。壁に無数の亀裂が入り、ドアのガラスにひび割れが残った店内で今も営業を続けています。
今年1月には店舗兼自宅の解体を始め、現地で建て替える間は、町の準備した仮設商店街へ入居する予定でした。ところが、県道拡幅で敷地の約7割が用地の対象とされ、再建の望みは全てご破算になりました。村上さんは、解体に備え「みなし仮設」を借りたため、応急修理の補助は受けられず、「どうせ立ち退かなければならないのなら、借金までして店を修理しようとは思わない」と語りました。
「国が事業認可したから、あきらめるしかない」と話しますが、納得できているわけではありません。
「被災者には生活を再建するように言いながら、何で県は逆行するようなことを。最初に美容室を始めてから35年、今が一番苦しい。この先、どうなるのか全く見えないから」と、ため息をつきました。
昨年末にカラオケ店を再開した女性(68)も、「震災と立ち退きで二重のショック」と漏らしました。店の修復費用などは100万円を超えたといいます。「廃業も考えたけれど、お客さんたちに励まされて。私自身、気晴らしになると思って再開したのに。今は先の話は考えたくない」





ガラス窓が割れ、べニア板を張り付けた美容室で今も美容師の仕事を続ける村上さん=5月15日、熊本県益城町

縮小する案提示
4車線化が計画されているのは、益城町中央部を横断する県道28号線で、熊本市との境界から東へ約3・5キロの区間。県は、道幅を現在の10メートルから27メートルに広げることで渋滞を解消し、熊本空港へのアクセスの時間短縮などを打ち出しています。用地買収の対象は、沿線の約300戸。事業完了は2026年3月の見通しです。
異例のスピードで事業着手を進める行政に対し、住民有志は「益城・四車線化を見直そう会」をつくって交通量調査や住民アンケートに取り組みました。
3月の平日午前6時から午後8時までの間、会のメンバーが交代で県道を通る車両数を目視調査。結果は、国が4車線化の目安にする1日の交通量1万2千台に届かず、かつて県が行った調査から約5千台も減っていました。調査に参加した前川賢夫さん(58)=会社員=は、目立った渋滞は確認できなかったと話します。「空港周辺につながる新しい町道も開通し、そっちに流れているのでは。4車線化しなくても右折レーンやバスの停留スペースを設ければ十分、との声も多いのです」
「会」は、2車線のまま今より広い歩道を確保した上で、27メートルの拡幅を15メートルに規模縮小する代替案を提示し、事業費も半額以下に抑えられると試算しました。前川さんは言います。「せっかく震災を耐え抜いた病院や店舗がなくなれば、生業、生活を奪われ、町を去る人も出てくる。生活道路の修復さえ終わらぬ中、まずは被災者の生活再建に予算は使われるべきです。国の事業認可で、反対しても意味はないという行政の雰囲気づくりもある中、さらなる提案もして、見直しの必要性を広めていきたい」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年5月27日付掲載


道路の拡張のためには、宅地の減歩(げんぶ)=数メートル内側に減らすことが必要です。火災の延焼防止など災害防止のための道路の拡張は必要ですが、住民の合意が大事です。阪神・淡路大震災の際も大問題になりました。

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