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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

職場のトラブルQ&A⑦ 「固定給に残業代込み」っていいの? 事前に明示なければ問題あり

2019-04-27 07:55:38 | 職場のトラブルQ&A
職場のトラブルQ&A⑦ 「固定給に残業代込み」っていいの? 事前に明示なければ問題あり
今回は、よく労使紛争の原因となっている「固定残業代」の相談を取り上げます。募集、採用時の労働条件の説明にもからむ問題です。就職や転職をする場合には、賃金や労働時間などの重要な労働条件については、十分に確認しておきたいものです。

 固定給月額25万円という条件で、営業の仕事に転職しました。最初から仕事が忙しく、残業時間は月40時間になりました。ところがもらった給料は25万円(基本給20万円十営業手当5万円)だけでした。社長に確認したら、「うちの営業手当は残業代込みだから、それ以外に残業代を支払う必要はない」と言われました。そんな話は聞いていませんでしたが、残業代はもらえないのでしょうか。

 いいえ、そんなことはありません。あなたは残業代を請求できます。
確かに、法律上必要とされる時間外割増賃金(残業代、労基法37条)の支払いに代えて一定額の手当を支給することや、基本給の中に割増賃金を組み込んで支給することはありえます。(このような方法で支払われる残業代を固定残業代と呼んでいます)
しかし、こうした固定残業代が有効となるのは、①雇用契約で、残業代がこのような形で支払われるものとされていること、②通常の労働時間の賃金と残業代とが明確に区分されていること―が必要です。
またその場合でも、③固定残業代が「法で定める残業代の計算方法による額」を下回る時は、その差額がきちんと支払われなければなりません。
あなたの場合、営業手当5万円が固定残業代であることを事前に聞いていません。また、就業規則などにもそれが明記されていないのですから、これを残業代の支払いとみなすことはできません。
月の所定労働時間を160時間とすると、あなたは、25万円を基礎賃金として、約7万8000円(25万円÷160時間×1.25×40時間)の残業代を請求できます。会社が支払いに応じない場合は労働組合に相談するか、会社の所在地を担当する労働基準監督署に申告してください。



2018年1月1日付の職安法改正を解説する厚労省のパンフレット「労働者を募集する企業の皆様へ」
↑クリックすると別画面で開きます。

最近、高額の固定残業代を基本給に組み込み、賃金額を高く見せかけて入社させるケースがあります。実際には、長時間残業しても基本給しか支払わないといったトラブルも増えています。
会社が労働者を募集する場合、次の事項を明示しなければならないとされています。(職業安定法5条の3、職業安定法施行規則4条の2)
それは業務の内容、労働契約の期間、働く場所、始業と終業の時刻、残業の有無、休憩時間・休日、賃金に関する事項です。
これらに加えて、固定残業代制をとる場合には固定残業時間と金額、固定残業代を除いた基本給額なども明示する事項になりました。(18年1月の指針改正)
入社後にトラブルとならないためにも、賃金、労働時間、業務内容、契約期間などの重要な労働条件については、しっかり確認するようにしてください。
今村幸次郎(弁護士)

「しんぶん赤旗」日曜版 2019年3月24日付掲載


「固定残業代」として一定金額があらかじめ支給されている場合でも。その「固定残業代」に相当する残業時間を上回って働いた場合は、その分を請求できるって事。

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