緊迫岩国艦載機移駐① 辺野古と一体 民意無視
山口県岩国市の米海兵隊岩国基地への空母艦載機(神奈川県・厚木基地所属)の移駐をめぐり、福田良彦岩国市長が安倍政権に屈して6月議会中に受け入れの表明をするとみられ、緊迫した情勢となっています。
反対は圧倒的
艦載機移駐は2006年の住民投票(投票率58・68%)で89%が反対した圧倒的民意が示され、その後も党派を超えた幅広い市民が移駐反対の運動を続けています。こうした民意を受け、福田市長はこれまで艦載機移駐に関し、「普天間基地移設(沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設)の見通しが立たないうちに、艦載機の移駐のみを切り離して進めることは認められない」―などの条件をつけ、賛否を保留してきました。
ところが、2月5日に岩国市を訪れた菅義偉官房長官は、自らが沖縄県民の民意を無視した新基地建設を進めていることをあげ、これと歩調をあわせ艦載機移駐を進めるよう迫りました。
これを受け、福田市長は、5月中旬に辺野古工事現場を視察。新基地建設の「見通しが立っている状況だ」と発言し、その後、市が開いた住民説明会では、昨年12月の辺野古訴訟の国側勝訴判決で「法的地位が確定した」とし、4月からの護岸工事着手で「工事が進んでいる」としました。
岩国墓地へ移駐する空母艦載機の内訳(計61機)と予定移駐時期
(岩国市資料から作成)*岩国基地には既存の所属機約60機のほか、海上自衛隊の航空機約40機が配備されています。
(注)米海軍は今年秋以降、C2をCMV22オスプレイに代える計画
侵略力が格段強化 市民の暮らし脅かす
空母艦載機の移駐は2006年の在日米軍再編合意に基づくもの。7月以降、計61機が移駐する計画です。このうち、一部は墜落事故が相次いでいるオスプレイと交代します。今年1月に配備されたF35Bステルス戦闘機など既存の所属機約60機とあわせ約120機と倍増し、極東最大の米航空基地となります。
艦載機の移駐に伴い軍人・軍属・家族の計約3800人が移り、市の中心部にある愛宕(あたご)山地域で建設が進む米軍住宅などに住む予定。現在の約6500人とあわせ、1万人を超えます。
吉岡氏は、移駐により、「空母打撃群と海兵隊の米軍の二つの“殴り込み部・隊”が岩国でひとつになり、侵略力が格段に強化される。同時に騒音の激化や米軍の事件・事故の増加が市民の暮らしを脅かす」と指摘します。
自治権の認識
しかし、福田市長は「あらゆる手法で新基地を造らせない」としている翁長雄志沖縄県知事と面談もしていません。
翁長知事は7日、工事の差し止め訴訟の提起を表明。しかも知事が「必ずやる」と明言している埋め立て承認の「撤回」が行われれば、その時点で国の工事は違法となります。市がいう「法的地位が確定した」とは到底言えません。県民の抵抗で護岸工事の進捗も遅く、「見通しが立った」といえる状況にありません。
福田市長の発言について、山口県平和委員会の吉岡光則会長は「沖縄県民がオール沖縄で工事を止めようとしているときに地方自治をどう考えているのか。自治権に対する認識が全くない」と指摘します。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年6月10日付掲載
艦載機移駐を既成事実のように受け止める、福田市長の民意無視の態度は許されません。
山口県岩国市の米海兵隊岩国基地への空母艦載機(神奈川県・厚木基地所属)の移駐をめぐり、福田良彦岩国市長が安倍政権に屈して6月議会中に受け入れの表明をするとみられ、緊迫した情勢となっています。
反対は圧倒的
艦載機移駐は2006年の住民投票(投票率58・68%)で89%が反対した圧倒的民意が示され、その後も党派を超えた幅広い市民が移駐反対の運動を続けています。こうした民意を受け、福田市長はこれまで艦載機移駐に関し、「普天間基地移設(沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設)の見通しが立たないうちに、艦載機の移駐のみを切り離して進めることは認められない」―などの条件をつけ、賛否を保留してきました。
ところが、2月5日に岩国市を訪れた菅義偉官房長官は、自らが沖縄県民の民意を無視した新基地建設を進めていることをあげ、これと歩調をあわせ艦載機移駐を進めるよう迫りました。
これを受け、福田市長は、5月中旬に辺野古工事現場を視察。新基地建設の「見通しが立っている状況だ」と発言し、その後、市が開いた住民説明会では、昨年12月の辺野古訴訟の国側勝訴判決で「法的地位が確定した」とし、4月からの護岸工事着手で「工事が進んでいる」としました。
岩国墓地へ移駐する空母艦載機の内訳(計61機)と予定移駐時期
E2Dホークアイ早期警戒機 | 5機 | 17年7月以降 |
FA18スーパーホーネット戦闘攻撃機 | 48機 | 17年11月、18年5月 |
EA18Gクラウラー電子戦機 | 6機 | 18年1月 |
C2グレイハウンド輸送機(注) | 2機 | 18年1月 |
(注)米海軍は今年秋以降、C2をCMV22オスプレイに代える計画
侵略力が格段強化 市民の暮らし脅かす
空母艦載機の移駐は2006年の在日米軍再編合意に基づくもの。7月以降、計61機が移駐する計画です。このうち、一部は墜落事故が相次いでいるオスプレイと交代します。今年1月に配備されたF35Bステルス戦闘機など既存の所属機約60機とあわせ約120機と倍増し、極東最大の米航空基地となります。
艦載機の移駐に伴い軍人・軍属・家族の計約3800人が移り、市の中心部にある愛宕(あたご)山地域で建設が進む米軍住宅などに住む予定。現在の約6500人とあわせ、1万人を超えます。
吉岡氏は、移駐により、「空母打撃群と海兵隊の米軍の二つの“殴り込み部・隊”が岩国でひとつになり、侵略力が格段に強化される。同時に騒音の激化や米軍の事件・事故の増加が市民の暮らしを脅かす」と指摘します。
自治権の認識
しかし、福田市長は「あらゆる手法で新基地を造らせない」としている翁長雄志沖縄県知事と面談もしていません。
翁長知事は7日、工事の差し止め訴訟の提起を表明。しかも知事が「必ずやる」と明言している埋め立て承認の「撤回」が行われれば、その時点で国の工事は違法となります。市がいう「法的地位が確定した」とは到底言えません。県民の抵抗で護岸工事の進捗も遅く、「見通しが立った」といえる状況にありません。
福田市長の発言について、山口県平和委員会の吉岡光則会長は「沖縄県民がオール沖縄で工事を止めようとしているときに地方自治をどう考えているのか。自治権に対する認識が全くない」と指摘します。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年6月10日付掲載
艦載機移駐を既成事実のように受け止める、福田市長の民意無視の態度は許されません。
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