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日本共産党兵庫県委員会で働いています。

デュアルユース(軍民両用)の危険③ 学術界全体を動員

2022-12-16 07:09:45 | 平和・憲法・歴史問題について
デュアルユース(軍民両用)の危険③ 学術界全体を動員
岸田文雄政権の与党自民党は、軍事と一線を画してきた学術界・経済界の姿勢を攻撃し、政府に科学・技術の軍事動員を迫っています。

提言
自民党国防議員連盟(会長=衛藤征士郎・元防衛庁長官)が今年6月、政府に提出した「産官学自一体となった防衛生産力・技術力の抜本的強化についての提言」は冒頭、「技術が戦場を支配する」とあからさまに宣言。「兵器の高度化」のための科学・技術の軍事動員を強調しました。
「動員戦略」の障害を取り除くため、まず日本学術会議を攻撃します。「日本学術会議による累次にわたる『軍事目的のための科学研究を行わない』旨の声明が示すとおり、学術界からは徹底して『軍事』は忌避されてきた」。提言はこう強調し、平和を願う研究者の思いを踏みつけにします。
科学・技術の軍事動員のために政府が前面に出ることを提言は要求します。政府に「研究開発の司令塔となる組織」の新設を求めました。さらに内閣府の「総合科学技術・イノベーション会議」(CSTI、議長=首相)に防衛相を常任メンバーとして参加させることを求めました。
CSTIへの防衛相の常時参加は、国の科学・技術政策を軍事的に変貌させ、学術界全体を軍事動員させる大きなテコとなります。
CSTIには首相をトップに関係閣僚、日本学術会議会長、経済界出身の有識者らが「議員」として参加。5年に1度「科学技術基本計画」(第1期1996年~)を策定し、各省庁への科学・技術関係予算の分配権限を持つ「司令塔」の役割を担ってきました。
第2次安倍晋三政権は2014年、産業界の意向を強く反映したイノベーション創出促進を図る会議体へと改変。さらに「第5期基本計画」(16年)で科学・技術の方向性を「安全保障」に資するものとする内容を盛り込み、第6期計画(21年)では科学・技術を「総合的な安全保障の基盤」と位置づけ、その「強化」のために国内外の研究動向の把握や特定重要技術の流出防止などを掲げています。



総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)で発言する岸田文雄首相=6月2日、首相官邸(首相官邸ホームページから)

一体
CSTIの主導で、内閣府が大学等研究機関の膨大な科学・技術の研究データベースを保有しています。日本科学者会議科学・技術政策委員会の野村康秀氏は、防衛相の常任議員入りによって「防衛省職員が、内閣府の事務局に派遣され常駐することになり、国内の科学・技術のデータベースや動向を直接把握できるようになる」と危険性を指摘。自衛隊と米軍の一体化が深まる下で「米国の軍事技術の関心をタイムラグ(時間のずれ)なく反映できるようになる」とその狙いを強調します。
前出の自民党提言は、「司令塔」づくりで米国防総省の高等研究計画局(DARPA=ダーパ)をモデルにするよう求めました。経団連も今年4月の「防衛計画の大綱に向けた提言」で、ダーパを参考にした組織の立ち上げを提起しています。
ダーパは、国防総省内で軍事研究の資金配分を担う機関で、米軍の軍事技術の優位性を維持することを目的にしています。主な任務は科学者と軍事研究との仲立ちであり、大学などの基礎研究部門を注視して軍事に転用可能な研究に研究費を拠出しています。約30億ドル(約4110億円)規模の年間予算で、ステルス技術や無人航空機など革新的な軍事技術の開発の手引きをしています。
軍学共同反対連絡会の浜田盛久氏(海洋研究開発機構研究員)は、「日本版ダーパの新設は軍産学複合体の形成につながる」と指摘。「米国のような軍事国家に進むのか、それとも戦争動員された歴史を反省して軍事と決別した日本の学術の在り方を発展させるのか、岐路に立っている」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月15日付掲載


「動員戦略」の障害を取り除くため、まず日本学術会議を攻撃。「日本学術会議による累次にわたる『軍事目的のための科学研究を行わない』旨の声明が示すとおり、学術界からは徹底して『軍事』は忌避されてきた」。提言はこう強調し、平和を願う研究者の思いを踏みつけに。
軍学共同反対連絡会の浜田盛久氏(海洋研究開発機構研究員)は、「日本版ダーパの新設は軍産学複合体の形成につながる」と指摘。「米国のような軍事国家に進むのか、それとも戦争動員された歴史を反省して軍事と決別した日本の学術の在り方を発展させるのか、岐路に立っている」
学問を軍事に利用させないという決意と世論が大事。

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