きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

貿易赤字の裏側① 為替変動で輸入額増

2014-02-08 17:06:49 | 経済・産業・中小企業対策など
貿易赤字の裏側① 為替変動で輸入額増

2013年1年間の日本の貿易赤字は11兆4745億円で過去最大の額となりました。
背景を探ります。
(清水渡)

貿易赤字の直接の要因は輸入の急増です。13年の輸入の金額は81兆2622億円で、過去最大となりました。12年の70兆6886億円からは15%も増加しました。品目別にみて輸入額の増加に影響を与えたのは、石油や液化天然ガスなど鉱物性燃料(12年比33・8%増)、携帯電話や電子部品などをふくむ電気機器(同22・1%増)、コンピユーターなど一般機械(同19・2%増)などです。
実は13年は輸出の金額も増加しています。12年比9・5%増で3年ぶりの増加となりました。輸出額69兆7877億円は過去4位という高水準です。
貿易の金額だけを見れば、輸出、輸入とも増加したものの、輸入額の方がより増えたために貿易赤字が増大した形です。



2013年の主な貿易品目の取引量・金額の増減(12年比)

量は変わらず
貿易を金額ではなく量でみた場合には様相が変わります。貿易の量を示す数量指数(2010年=100)は、13年で輸入105・4(12年比0・4%増)、輸出90・2(同1・5%減)でした。輸入量は微増にとどまり、輸出量は減少したにもかかわらず、それぞれの貿易額が増大したのです。
貿易額はそれぞれの貿易品目の価格に、貿易量をかけたものです。貿易量がそれほど大きく増えていないのに、貿易額が極端に増えたのは貿易品目の価格が上昇したということになります。その背景に為替相場の変動があります。12年の平均相場が1ドル=79・55円だったのに対し、13年は同96・91円と21・8%の円安になりました。円安のために外貨建て貿易を日本円に換算する際、金額が膨れ上がったのです。
貿易赤字増大にかかわって、東日本大震災以降、原子力発電所が停止し、火力発電への依存が高まったために、火力発電の燃料輸入が増えたことが主因だとの指摘があります。
しかし、民間シンクタンク、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「鉱物性燃料の輸入数量の伸びは11~13年の平均で2・2%(輸入数量全体は1・8%)、これによる貿易収支の悪化はマイナス1・5兆円で、全体(マイナス18・1兆円)の1割にも満たない」と分析しています。輸入量が増加したことよりも、円安の進行やエネルギー価格の上昇によって鉱物性燃料の価格そのものが増大した影響が大きいとしているのです。



東京港でコンテナを積み下ろしする貨物船

海外生産が増
これまで日本の産業構造は海外から原材料を輸入し、自動車や電機などの工業製品を輸出する「貿易立国」「輸出大国」とされてきました。しかし、その基盤は崩れつつあります。
東京工科大学の工藤昌宏教授は「貿易赤字と円安は構造的なもので、すぐに解消するとは考えられない」と指摘します。
工藤教授が問題視するのは輸出の数量指数が3年連続で減少したことです。「日本の内需には期待できないと、大企業を中心に海外に生産拠点を移したことが影響しています」と話します。
大企業による海外進出の傾向はますます強まっています。日本政策投資銀行がおこなっている全国設備投資計画調査(大企業)によると、12年度の海外における設備投資は全産業で27・0%と3年連続で2桁増となりました。とりわけ製造業では非鉄金属(47・6%増)や石油(4倍)など資源関連投資の増加が目立ちます。さらに13年度の海外設備投資計画は全産業で25・9%と4年連続の2桁増です。製造業の国内設備投資が12年度実績で2・7%増にとどまったのと対照的です。(つづく)(2回連載の予定です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年2月7日付掲載


貿易赤字が増えた理由に、「原子力発電所が停止し、火力発電への依存が高まったために、火力発電の燃料輸入が増えたことが原因」と鬼の首を取ったように騒ぎ立てて、「だから原発再稼働を早くしないといけない」という報道をよく耳にします。
冷静に分析すると、輸入量の増大は貿易赤字の一因ではあるけど、為替変動や価格の値上げの方が影響が大きいのですね。
海外生産が増えて日本の産業構造そのものが変わってきていることが問題ですね。




コメント
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