黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『俳風三麗花』三田完(文藝春秋)

2007-07-10 | 読了本(小説、エッセイ等)
昭和7年、東京・日暮里渡辺町。父・源太郎の友人であり同僚であった、文理科大学教授の秋野林一郎こと、暮愁先生の元で催される句会…暮愁庵句会。その句会に父と共に参加していた阿藤ちゑは、父を亡くし、四十九日を終えたばかり。
久々に参加した句会には、白山で写真館を営む穂邨、神田の古本屋のあるじ南海魚、三井合名社員で渡辺町に住む政雄、下谷に住む筆職人の銀渓らのいつもの面々の他に、医学を学ぶモダンな女学生・池内壽子が参加することになった。そして、船上での句会をきっかけに、浅草芸者の松太郎も参加することになり、一気に華やいだ雰囲気に。そんなある日、病院に出かけたちゑは、産科病棟で暮愁と松太郎が一緒にいるところを目撃してしまい、心中穏やかでなく……『とら、とら、とら』、
松太郎は、贔屓の客である歌舞伎役者の播磨屋(中村吉右衛門)とのつながりで、満州で成功したという婦人実業家・麻生銀虹と知り合う。彼女は、満州での歌舞伎巡業の資金集めとして、句を募り、壮行俳句大会を催したいと考えているらしいが……『おんな天一坊』、
ある日、壽子の元に差出人不明の一通の恋文が届く。女性の手によるものらしい、水茎麗しいその手紙に心を動かされる壽子。差出人は、級友である北村早苗ではないかと推測するが……『冬薔薇』、
新たに句会に参加することになった浅草橋の人形屋・かもやの店主、鴨居傳助。初日にして皆に褒められる句を作った彼だったが、その後の、芸者である松太郎を見下すような言動にちゑたち女性陣は憤りを感じる。そこで暮愁も加わり、彼に灸を据えることに……『艶書合』、
縁談話が持ち上がり、悩むちゑ。暮愁先生にほのかな想いを寄せる彼女は、その想いを手紙をしたためる。そして、壽子、松太郎にもそれぞれの恋模様が……『春の水』の5編収録の連作短編集。

今回の直木賞候補作の中で、これだけ未読だったので読んでみましたが(笑)、とても素敵な作品でした♪
暮愁先生とちゑさんのほのかな関係が、何とも微笑ましく、良い感じvv
俳句については門外漢ながら、句会で皆が競う雰囲気も楽しく、堅苦しいもののように感じていた俳句というものの見方が、ちょっと変わったような気がします。

<07/7/10>