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歴史・文化・環境をめぐる学術的話題から、映画やゲームについての無節操な評論まで、心象スケッチを連ねてゆきます。

「特定秘密保護法案」に反対する緊急声明(日本歴史学協会)

2013-11-22 02:40:10 | 議論の豹韜
以下、日本歴史学協会の「特定秘密保護法案に反対する緊急声明」。念のため、ここにも載せておこう。

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「特定秘密保護法案」に反対する緊急声明


 去る10月25日、第二次安倍内閣は、「特定秘密保護法案」(特定秘密の保護に関する法律案)を閣議決定し、国会に提出した。
 本法案は、外交・安全保障等の国民の将来にかかわる広範な重要事項を、秘密の名のもとに国民の目から隠すものであり、国会・司法によるチェックさえも形骸化させて、事実上政権中枢のみで国政の行方を決定することを可能にする点で、国民主権の原則に背馳する。また安全保障(軍事)上の秘密の保全に力点を置く本法案が示す軍事優先の姿勢は、憲法の平和主義の原則とは本来両立し得ない。1950(昭和25)年の発足以来、戦前の軍国主義への反省の上に立って、平和で民主的な社会の建設を願い、歴史学の発展をめざしてきた日本歴史学協会としては、本法案が歴史学の発展を損なう恐れのある以下のような重大な問題点を含んでいることを看過することはできない。

 1.「特定秘密」に指定できる範囲があいまいで、しかも秘密指定の有効期間も延長でき、半永久的な秘密扱いが可能となっている。「特定秘密」文書の公開も担保されておらず、防衛省の「防衛秘密」が秘密保持期間を過ぎた後に廃棄されたとの報道に鑑みても、歴史の真実の検証が不可能になり、歴史研究にとって大きな妨げとなる。
 2.「特定秘密」を指定するのは行政機関の長で、漏洩者は重罰に科すと定めた本法案は、「特定秘密」文書を入手した際に重罰に科される可能性さえあり、また、歴史的に重要な文書が行政機関によって恣意的に選別される可能性が高く、歴史の真実を検証することが不可能になり、歴史研究や教育にとって多大な障害をもたらす。
 3.「特定秘密」を扱う者の適性評価制度を導入し、「特定秘密」を扱う者としてふさわしいかどうかの適性審査を行おうとしているが、個人のプライバシーおよび思想・信条の自由が侵害される恐れがある。

 以上のように、「主権者である国民が主体的に利用し得る」ために「行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図」るとする公文書管理法の趣旨にも逆行し、歴史研究や教育にとってきわめて深刻な障害をもたらす特定秘密保護法を制定することに、日本歴史学協会は強く反対する。

2013(平成25)年11月19日             
日本歴史学協会
会長 廣瀬良弘
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