【万葉集に登場する〝かほばな〟はこの花?】
野原や河川敷、道端などでよく見かけるヒルガオ科のつる性多年草。7~8月頃、漏斗状の淡い紅色の花を一輪ずつ上向きに付ける。日中に開き続け夕方にしぼむ一日花で、早朝に開き昼頃閉じるアサガオ(朝顔)に対して名付けられた。花径は5~6cm。同じヒルガオ属の仲間に全体的にやや小型のコヒルガオ、砂浜に生える海浜植物のハマヒルガオなどがある。
学名は「Calystegia japonica(カリステジア・ジャポニカ)」。属名はギリシャ語のcalyx(萼)とstege(蓋)から。萼が5裂し、その基部を2個の苞が包み込むヒルガオ属の花の様子を表す。若葉や花はてんぷらやサラダなどとして食用にされてきた。全草を乾燥したものは生薬名で「旋花(せんか)」と呼ばれ、利尿や強壮薬などに用いられる。
万葉集に4首詠まれている「かほばな」(万葉仮名は容花・可保婆奈など)。この花についてはムクゲやカキツバタなど諸説あるものの、ヒルガオとする説がほぼ通説になっている。4首のうちの1首に大伴家持の「高円の野辺のかほばな面影に見えつつ妹は忘れかねつも」(巻8-1630)。なお夕方咲き始めるヨルガオ(夜顔)は熱帯アメリカ原産の白花で、同じヒルガオ科でもアサガオと同じサツマイモ属。同じく夕方開く白花のユウガオ(夕顔)は全く別種のウリ科ユウガオ属で、実が巻きずしなどに使う干瓢(かんぴょう)の原料となる。「昼顔に猫捨てられて泣きにけり」(村上鬼城)
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