【人気集める交配品種の「レッドロビン」】
カナメモチはバラ科カナメモチ属の常緑樹で、温暖な関東以西の山地や丘陵地に自生する。樹高は3~5m。若葉の紅色が美しいことから、生け垣や庭木としてよく使われる。5月頃、枝先の直径10cmほどの半円形の花序に白い5弁の小花を無数に付け、秋には赤い小さな球形の実を結ぶ。葉は冬になると緑色になる。刈り込み剪定には強いものの、新しい葉が出る頃に刈り込みすぎると開花は期待できなくなる。
別名アカメモチ(赤芽黐)。古名は「ソバノキ」で密に付く白花がソバの花に似ることから。清少納言の『枕草子』にも「そばの木」として登場する。カナメモチの名はこの堅い木で扇の要を作ったことによるとの説があるが、若芽の赤い色を表すアカメモチから転訛してカナメモチになったとの説が有力。モチと付くが常緑高木のモチノキ属の仲間ではない。新芽の紅色はアントシアニンという色素によるもので、まだ葉緑素を十分形成できない若葉を紫外線から守っているそうだ。(下の写真はオオカナメモチ)
カナメモチのうち若葉の紅色が特に濃いものをベニカナメモチと呼ぶことがある。有名な「レッドロビン」という品種はカナメモチとオオカナメモチの交配種で、アメリカで作出された。日本原産のカナメモチに対し「セイヨウベニカナメモチ」とも呼ばれる。カナメモチより紅色が一層鮮やかなほか、葉が大きくて軟らかいのが特徴。オオカナメモチは中国、台湾原産で、日本でもまれに暖地の山地に自生する。樹高は10~12mほどになり、葉も花序もカナメモチより一回り大きい。「清明やことに垣根の紅要黐」(木村茂登子)
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