【11団体が結集~祭文踊りや阪本踊りから能楽、和太鼓まで】
奈良県大淀町の文化会館あらかしホールで11日「第6回大和の国芸能まつり」が開かれた。「ムジークフェストなら」の連携コンサートの一つ。今年は県内各地から11団体が参加した。うち3団体は吉野町祭文踊り保存会、大塔町阪本踊り実行委員会(五條市)、菟田野(うたの)祭文音頭保存会(宇陀市)で、会場は一足早く真夏の盆踊りの季節が到来したかのような熱い盛り上がりを見せた。
吉野町の祭文踊りは古くから吉野地方に伝わる郷土芸能。だが、過疎化と高齢化の中で衰退気味だったため、地元の有志が1998年に保存会を立ち上げた。以来、吉野まつりや各地の盆踊りに毎年参加している。県の無形民俗文化財に指定されていた大塔町の阪本踊りは諸事情で休止状態だったが、4年前に実行委員会が結成され再び蘇った。阪本踊りには全部で23曲あるそうだが、この日はその中から「開き」「かわさき」「政吉踊り」「なんちき」の4曲を披露した(下の写真㊧)。菟田野の祭文音頭保存会が発表したのは「祭文音頭」と「金魚踊り」の2曲(同㊨)。踊り手が舞台の下や会場の階段まで広がって、観客も手拍子で応えた。
地元大淀町の「ちびっ子桧垣本座(ひがいもとざ)」への声援も大きかった。同町にはかつて能楽の囃子のルーツともいわれる〝桧垣本猿楽〟があったといわれる。能楽が世界無形文化遺産になったのは2001年。ちびっ子桧垣本座はその翌年、小鼓方大倉流宗家大倉源次郎氏の監修と能楽協会大阪支部の協力を受けて創設された。当初の座員は小学生だけだったが、今では保育所・幼稚園の園児から高校生までに広がった。この日の演目は連吟「吉野天人」や舞囃子の「老松」「岩船」など。舞が終わるたびに観客から惜しみない拍手が送られた。
参加が最も多かったのは和太鼓のグループで、「直央流鼓響大淀太鼓教室」(下の写真㊧)や「奈楽DEN(ならでん)」(同㊨)、「和太鼓龍王」「楽鼓(らっこ)の会 なら楽鼓」などが息の合った豪快な演奏を披露した。フィナーレは司会を務めた太鼓打(たいこうち)源五郎さんの音頭による「伊勢道中唄」。奈良県東部に位置する御杖村に伝わる祝い歌で、地元桃俣春日神社の祭礼や婚礼などお目出度い席で歌い継がれてきたという。観客も手拍子や「ハヨーイヨーイ」と合いの手を入れていた。
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