く~にゃん雑記帳

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<大和文華館> 特別企画展「朝鮮の絵画と工芸」

2016年12月07日 | 美術

【5世紀以降の金工・陶磁・漆器・絵画など約80点】

 奈良市学園南の大和文華館で特別企画展「朝鮮の絵画と工芸」が開かれている。新羅時代の精緻な飾り金具や高麗時代の青磁、朝鮮時代の螺鈿漆器、李郭派山水画など、同館所蔵の工芸品を中心に5~19世紀の逸品約80点を一堂に展示、洗練された朝鮮美術の魅力を紹介する。12月25日まで。

 

 会場の入り口正面に展示された「青磁九龍浄瓶」(写真)は全羅南道康津郡出土の高麗時代12世紀の作品で、国の重要文化財に指定されている。高さ33.5cm、胴径12.5cm。上部で極めて精巧な作りの9つの龍頭がにらみを利かせ、胴部では龍身が波涛で躍動的にうねる。「粉青象嵌蓮池三魚文扁壷」は李氏朝鮮時代初期の15世紀の粉粧灰青沙器(粉青沙器)3匹の魚が蓮華、エビとともにユーモラスな文様で描かれている。粉青沙器は灰色の素地にヘラなどで文様を描き白土で化粧し透明釉をかけて焼いたもの。日本名では「三島手」とも呼ばれ、今企画展ではこの作品も含め7点が出品されている。

 「白磁青花彩陽刻十長生文六角瓶」は高さ26.3cmの白磁の瓶。〝十長生文〟は鶴、亀、鹿、松、竹など10の長寿の吉祥文様で、朝鮮時代の絵画や工芸品に好んで取り上げられた。朝鮮中期の絵画「群鹿図」にはその1つの鹿が黒鹿2頭も含め20頭近く描かれている。中国・北宋時代に編纂された古書『太平御覧』(977年成立)には、鹿は長寿で500年生きると白鹿に、1000年生きると玄鹿(黒い鹿)になり、玄鹿の肉を食すと2000年の命を保つことができると記されているという。この作品もそうした信仰を受け長寿の祈りを込めて描かれたとみられる。

 十長生文とともに朝鮮時代の水墨画や陶磁器などに吉祥文として好まれた題材に葡萄文がある。葡萄は実を多く付けることから子孫繁栄を象徴するめでたい文様とされた。今企画展にも「鉄砂青花葡萄文大壷」や漆工「螺鈿葡萄文衣裳箱」、李継祜筆の「葡萄図」などが出展されている。李継祜(1574~1645)の作品は葡萄の蔓が大きく弧を描き、墨の濃淡で葉と房を立体的に表現した。


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