【原産地はコーカサス地方、葉に鋸歯状の切れ込み】
キク科ノコギリソウ属(アキレア属)の多年草。ノコギリソウの仲間は北半球の温帯から寒帯にかけて広く分布する。全草に薬効があり、ヨーロッパなどでは薬用植物として古くから栽培されてきた。ノコギリソウは学名から「アキレア」とも、またハーブ名から「ヤロウ」とも呼ばれる。アキレアの名前はこの植物から傷薬を調合したという伝説があるギリシャ神話の英雄アキレウスに由来するそうだ。
ノコギリソウの仲間は日本にもエゾノコギリソウなど数種が自生しており、花の美しさから「ハゴロモソウ(羽衣草)」とも呼ばれる。ただ国内で花壇用や切り花として栽培されるのはヨーロッパ原産のセイヨウノコギリソウ(コモンヤロウ)か、カスピ海と黒海に挟まれたコーカサス地方原産のキバナノコギリソウ(イエローヤロウ)が中心。セイヨウの花色は白や赤、淡紅色などカラフルだが、キバナはその名の通り、枝先の散房花序に黄色い小さな頭花を密に付ける。キバナはセイヨウより全体的に大型で、花序の直径は10~15cmと大きく、草丈も1m以上になる。
ノコギリソウの名前は葉の形がキクに似て、縁に鋸(のこぎり)状の深い切れ込みが入ることから。花色が褪せにくいためドライフラワーとしての人気も高い。日本では奈良~平安時代、ノコギリソウの茎が吉凶の占いに用いられ、それが後に筮竹(ぜいちく)占いに発展したという。ヨーロッパでもノコギリソウには神秘的な力があると信じられ、古くから占いや魔除けなどに利用されてきたそうだ。「細やかな鋸歯をもつその葉をたしかめてノコギリソウを教わりにけり」(鳥海昭子)
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