く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<玉桂寺のコウヤマキ> 「世界一の霊木」 2本の親株が65株にも!

2012年08月25日 | アンビリバボー

【弘法大師の御手植え? 樹齢は600年とも】

 コウヤマキ(高野槙)は日本と韓国・済州島に自生する1属1種の常緑針葉樹。名前の由来は高野山に多く生えていることによる。2006年にお生まれになった秋篠宮悠仁親王のお印になったことでも知られる。そのコウヤマキが圧倒的な存在感をもって群生しているお寺がある。滋賀県甲賀市信楽町の玉桂寺(ぎょっけいじ)。本堂に続く石段の両側に65株ものコウヤマキが密集して林立している。

 もともとは左右にそれぞれ1株植えた親株から繁殖したという。とりわけ本堂に向かって左手には43株(うち5株は枯れ死)が亭々とそびえ立ち、その様は壮観そのもの。最も高いものは31.5m、樹幹周囲は6.1mにも達する。玉桂寺は「世界一の霊木」と自負し、滋賀県は1974年、コウヤマキが繁殖する広さ425㎡を天然記念物に指定した。このため、その周りにロープを張って立ち入り禁止にしている。

 玉桂寺は奈良時代末期に、淳仁天皇が造営した離宮「保良宮」の跡に空海(弘法大師、774~835年)が一堂を建立したのが始まり。寺伝では空海は天皇供養のため、中国から持ち帰ったコウヤマキ2株を植えたという。ただ、現存するコウヤマキの樹齢は600年ほどともいわれる。同寺は「ぼけ封じ三十三観音第5番」で、毎月21日は「弘法さんの日」。とりわけ秋季大会式が行われる9月21日は毎年多くの参拝者でにぎわうそうだ。

 

 

 国内にはコウヤマキの老木・名木が各地の寺や神社などに存在する。愛知県新城市・甘泉寺と宮城県大崎市・祇劫寺のコウヤマキは国指定の天然記念物。福島県西会津町・鳥迫観音妙法寺のものは樹齢1200年ともいわれる。このほかにも京都・槙尾の西明寺、埼玉県新座市・平林寺、栃木県益子町の西明寺、日光・二荒山神社、北茨城市・花園神社などのコウヤマキも推定樹齢が600年を超える。ただ、そのほとんどは独立した大木。玉桂寺のように境内の狭い範囲に群生しているコウヤマキは珍しいようだ。

 では、どのようにして株が増えたのだろうか。境内の一角にあったコウヤマキの説明文には「もとは各1株を植えたものから、下枝がイチゴやユキノシタのように地について根を下ろして新株となり繁殖したもの」とあった。お寺が作成したものと思われるが、コウヤマキは果たしてそんなふうに増殖していくものだろうか。滋賀県教委が作った別の説明文には「親株から種により円状に繁殖し、第2世代、第3世代の新株が生まれた」とあった。いずれにしても玉桂寺のコウヤマキがこれからも風雪に耐え、落雷の被害に遭わないで豊かな緑を湛えてくれることを願うばかりだ。


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