【仲間にコヤブランとヒメヤブラン、斑入りの園芸品種が人気】
常緑多年草で、日が差し込む樹林の木陰に自生する。藪地に生え葉がランに似ていることから「ヤブラン(藪蘭)」の名が付いた。葉は長さが30~40cmほどで幅は1cm前後。9~10月頃、長さ30cmほどの花穂に紫色の小花をたくさん付ける。最近は葉の縁に白い筋が入った園芸品種の斑入りヤブランが花壇の縁取りや観葉植物としても人気を集めている。
ヤブランの仲間に「コヤブラン」と「ヒメヤブラン」がある。コヤブランは文字通りやや小型で葉の幅も4~7mmと細い。別名「リュウキュウ(琉球)ヤブラン」。ヤブランが1株ずつ株立ちして大きくなるのに対し、コヤブランは地下茎を伸ばして群落をつくる。ヒメヤブランはコヤブランよりさらに小型で、葉は短く幅も2~3mmほど。花数もヤブラン、コヤブランに比べると少ない。
万葉集に「山菅(やますげ、やますが)」を詠んだ歌が13首ある。そのうちの1つ「ぬばたまの黒髪山の山菅に 小雨降りしきしくしく思ほゆ」(柿本人麻呂歌集)。この山菅が何かについては諸説あるが、ヤブランではないかという見方がある。ほかにジャノヒゲ(リュウノヒゲ)や山中に生えるカヤツリグサ科のスゲの総称との見方も。
ヤブランの根を漢方では「大葉麦門冬(だいようばくもんどう)」と呼ぶ。ジャノヒゲの根は単に「麦門冬」。いずれも根の肥大部分を水洗いして乾燥させ煎じて使う。のどを潤して咳止めや痰切りに効くほか、利尿、催乳、風邪、解熱、滋養強壮などの効果もあるそうだ。
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