く~にゃん雑記帳

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<ヒツジグサ(未草)> 清楚な白い小花、日本に自生する唯一のスイレン

2015年06月06日 | 花の四季

【名前は「未(ひつじ)の刻=午後2時ごろ=に開花」から】

 スイレン属は熱帯から温帯にかけ世界に40~50種分布するが、日本に自生するのはこのヒツジグサ1種だけ。6~8月ごろ、水中の泥の中にある根茎から花茎を伸ばし白い清楚な花を水面に浮かべる。直径は4~5cmほど。スイレンの中では最も小さいという。

 ヒツジグサといっても羊が好きな草というわけではない。そのいわれは未(ひつじ)の刻、今の午後2時ごろに花が咲くためとされる。ただ「開花時間は必ずしも一定ではなく、もっと早いことが多い」(新牧野日本植物図鑑)。花は夕方に閉じる。かつて渡辺淳一の小説『ひとひらの雪』(1983年)の記述「未の刻の午後二時に、花を閉じて睡るからだとききました」を巡って〝ヒツジグサ論争〟が起きた。その時刻に花が開くのか、閉じるのか。当時の辞書や歳時記には「未の刻に花を閉じる」となっていたものもかなりあったそうだ。

 ヒツジグサは根茎を横に伸ばさず種子によって繁殖する。一方、外来の栽培品種のスイレンには地下茎が横走するものも多い。そのため野生化して湖沼の水面を覆い尽くし、ヒツジグサやアサザ、ジュンサイなど在来種を脅かすケースも。加えて水質の悪化、池の埋め立てなどでヒツジグサの生息環境は厳しさを増すばかり。すでに東京、神奈川、埼玉では絶滅したとみられ、20を超える多くの府県でも絶滅危惧種や準絶滅危惧種としてリストアップされている。

 日本にはヒツジグサの変種として北海道から東北地方に分布する「エゾベニ(蝦夷紅)ヒツジグサ」がある。中心部の雌しべの柱頭盤と雄しべの葯が紅紫色になっているのが特徴。この日本固有種のエゾベニヒツジグサ、環境省のレッドリストでは絶滅の危機が増大しているとして絶滅危惧Ⅱ類に分類されている。「那須の野の沼地に咲くを未草と教へ給ひきかの日恋(こほ)しも」。昭和天皇からこの植物について教えを受けた美智子さまは1979年にこう詠まれた。今上天皇と美智子皇后のご長女、紀宮清子内親王(今の黒田清子さん)の皇族時代のお印はヒツジグサだった。


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