く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<やなせななさん>〝歌う尼さん〟感動のトーク&ライブ 奈良県南部復興支援で

2013年02月08日 | ひと模様

【「千年眠れ」「まけないタオル」…東日本大震災支援ソングなど8曲披露】

 一昨年の紀伊半島大水害の被災地を応援しようと「岐阜県南部地域復興支援コンサート」が8日夜、奈良市の南部公民館であった。奈良教育大学生による熊野古道・道普請活動の報告に続いて、〝歌う尼さん〟として人気を集めるシンガーソングライター、やなせななさん(本名梁瀬奈々)が唱歌「ふるさと」や自作の東日本大震災支援ソング「まけないタオル」「千年眠れ」など8曲を披露。優しい語り口と歌声が会場を温かく包み込んだ。

   

 やなせさんは1975年奈良県高取町生まれの37歳。99年に龍谷大学文学部真宗学科を卒業後得度し、現在は実家でもある浄土真宗本願寺派教恩寺の第6世住職を務める。その傍ら、シンガーソングライターやラジオのDJ、エッセイストとしても活躍中。2011年3月の東日本大震災を機に被災地東北の支援活動にも積極的に取り組んできた。

 シングル1作目「帰ろう。」でデビューしたのは2004年。だがCDは売れず発表の場も少ない。そんな時、宮城など東北地方から声が掛かった。頻繁に出かけるうち、多くの友達や歌仲間の輪が広がった。2011年3月、その東北を大震災が直撃する。テレビで惨状を目にしたやなせさんは「応援した人に恩返しをしなくては」と度々東北に向かった。その年5月福島、6月宮城、9月岩手……。一昨年9月、台風12号による大水害で紀伊半島が被災した時も岩手県で復興支援のコンサート中だった。

 東北での支援活動の中で知り合った一人に宮城県山元町の徳本寺住職、早坂文明さんがいた。山元町は太平洋を望む宮城県東南端にある。大震災では600人を超える犠牲者が出た。その中には檀信徒も多くいた。住職を兼務する徳泉寺は津波に襲われ伽藍も仏具も全て流失した。早坂さんは寺院復興のため「はがき一文字写経」を呼び掛ける一方、遺族や被災者を励まし支えたいとの思いから詞を作った。それにやなせさんがメロディーをつけた。

 こうして鎮魂歌「千年眠れ」や「ほんとうの空の下で~フクシマを想う時」、復興支援歌「まけないタオル」などが生まれた。「眠りなさい きのうの想い出 忘れて 哀しみ抱いて 私はずっと祈ります だから千年経ったら目覚めなさい……」。その優しい歌詞と目を閉じて歌うやなせさんの透明感あふれる歌声が胸に迫ってくる。

 今でこそ知名度もアップし幅広い支持を集めているが、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。メジャーレビューを目指し、レコード会社にデモテープを持ち込んだ回数は百回を超える。だが、ことごとく落選。そのうちに所属事務所も閉鎖してしまった。追い討ちをかけるように30歳目前に子宮体がんを発症、卵巣と子宮の摘出手術を余儀なくされた。

 当時のつらい思いをいま販売中のPHP3月号にも綴っている。「シンガーソングライターとしての夢に破れ、ガン闘病によって自身の命の儚さを痛感した当時の私は、心身ともに疲れ果て、将来への希望を失いかけていました」。しかし鬱々としながら自宅にこもっていても仕方がない。発想を変えて挑戦していこうと考え直したという。この日のコンサートでも「自分だけでなくお隣の人も何がしか苦しいものを抱えている。東北で支えあうことの大切さを改めて教えられました」と話していた。

  

 コンサートを締めくくった曲は明るく元気な「まけないタオル」。やなせさんは支援活動の一環として「チームまけない!タオル」プロジェクトに参加してきた。このタオルの長さは約50cm(写真)。首にも頭にも「巻けない」と震災に「負けない」の語呂合わせから生まれた。募金1000円で支援者と被災者にタオルを1本ずつ送り、残金を被災地支援に充てる。山形県最上町のお寺の住職が編み出したという。

 「まけないぞ まけないぞ 首にも頭にも まけないタオル 半端じゃないぞ……」。震災には決して負けないという強い思いがこもる。コンサートが始まる前には来場者全員でピアノの伴奏に合わせて繰り返し練習、本番でもやなせさんと一緒に「まけないぞ まけないぞ」と声を合わせた。終了後には「まけないタオル」を求めて長蛇の列。ただ、この日の募金は奈良県南部の被災地支援に充てる。東北からも了解を得ているという。

 やなせさんは2007年ごろから宗派を超えて全国の寺院を中心にコンサートを開いてきた。これまでの公演回数は250回を超える。「これからも一人でも多くの人の悲しみや痛みに寄り添う歌を作り、届けたい」「挫折の先にも、数々の新たな出会いが生まれるものです。命ある限り、道は続いています」(PHP3月号から)。


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