【原産地は地中海沿岸地方、多彩な花色と甘い芳香で人気】
原産地はギリシャからトルコ、シリアなどにかけての地中海沿岸地方。野生種の花は青紫だが、オランダやフランスを中心に品種改良が重ねられ、白・黄・ピンク・青・赤など多彩な花色が生み出された。オランダ育ちのダッチヒアシンスとフランス育ちのローマンヒアシンスの2系統のうち、花が多く見栄えがするダッチヒアシンスが広く栽培されている。
キジカクシ科(またはユリ科)の秋植え球根植物。早春に長い剣状の葉の間から花茎を伸ばし、漏斗状の径2~3cmほどの小花を総状にたくさん付ける。花は「フェニルアセトアルデヒド」と呼ばれる芳香成分を含む。その癒し系の甘い香りもあって室内での水栽培や鉢植え植物としても人気が高い。
ヒアシンスの属名「Hyacinthus」はギリシャ神話に登場する美少年ヒアキントスに因むといわれる。太陽の神アポロンと円盤投げ遊びをしていたところ、アポロンが投じた円盤が突風のためヒアキントスの額を直撃し死んでしまう。突風は2人の中を妬む西風の神ゼフィロスが起こしたもの。ヒアキントスの血で染まった所からは紫色のヒアシンスの花が咲いた――。
日本に渡ってきたのは江戸時代末期の1860年代。漢字には「風信子」や「飛信子」の字が当てられた。「夜香蘭(やこうらん)」「錦百合(にしきゆり)」という優美な別名も。ヒアシンスはふつう1つの球根から1本の花茎が伸びるが、最近では数本の花茎が出て多くの花を付けるマルチフローラ系の品種も登場している。「ヒヤシンス高きを渡る風に和す」(有馬朗人)。
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