【実がイガ栗のようなミクリの仲間たちも】
大阪市立大学理学部付属植物園(大阪府交野市)には受付を兼ねた事務所棟のすぐ前に、長大なスイレンプールや水生植物コーナーがある。湿地や池沼に自生する水生植物は環境の変化にとりわけ敏感で、開発や水質の悪化などにより絶滅の危機に瀕しているものも多い。水生植物コーナーにはそうした貴重な浮葉植物や沈水植物など約80種を展示しており、9日に訪ねると花弁が毛むくじゃらのアサザやガガブタ、花後の果実がイガ栗のようなミクリの仲間たちがちょうど開花中だった。
【写真上】㊧アサザ、㊨ガガブタ【写真下】㊧ヒメシロアサザ、㊨ミズキンバイ
ミツガシワ科のアサザ、ガガブタは環境省レッドリストで準絶滅危惧、ヒメシロアサザは絶滅危惧Ⅱ類になっている。ガガブタは「鏡蓋」で葉の形が鏡の蓋に似ていることに由来するという。ガガブタとヒメシロアサザは同じ白花でよく似るが、ガガブタは花弁の内側全体に毛が密生するのに対し、ヒメシロは葉が小さく花弁の縁にだけ毛がある点が異なる。ミズキンバイ(アカバナ科)も絶滅危惧Ⅱ類で、花は一日花。ガマ科のオオミクリは絶滅危惧Ⅱ類、ナガエミクリは準絶滅危惧種。いずれも花序の上部に雄性頭花、下部に雌性頭花を付ける。ナガエミクリのナガエは雌性頭花に柄ができることに由来するそうだ。園内ではスイレンも見頃を迎えており、7月15日に「水生植物観察会」(解説=厚井聡・理学研究科講師)を開く。
【写真上】㊧ナガエミクリ、㊨オオミクリ【写真下】㊧チャワンバス、㊨ポンテデリア
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