【中米原産、葉や根には毒性成分】
ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属(アリストロキア属)の多年生植物。原産地は中米のエルサルバドルなど。アリストロキア属は熱帯から温帯にかけ500種以上が分布し、日本にもウマノスズクサ(馬の鈴草)など数種が自生する。多くはつる性で樹木などに絡まって上に伸びるが、このサルバドレンシスは仲間のアルボレアなどと同じくブッシュをつくる立木性。
アリストロキア属の植物は退化した花びらに代わって萼(がく)が発達し奇妙な形の花を付けるものが多い。サルバドレンシスの花は直径が5cmほど。内側は濃い茶色で上の方には目玉のような白い模様が2つ、外側にはマスクメロンのような白い網目模様が入る。その不思議な姿が映画「スター・ウォーズ」の悪役ダース・ベイダーに似ていると話題を集めている。1つの花の寿命は1週間ほどだが、株元から地際に伸びていく花茎の先に次々と花を付けていく。
サルバドレンシスは食虫植物の1種で、地面を這う小さな甲虫などを捕食するという。属名はアリストロキア酸という毒性の成分を含むことに由来する。根や葉、果実などを大量に摂取すると腎機能障害を引き起こす恐れがあるそうだ。また国際がん研究機関(IARC)はアリストロキア酸を「ヒトに対する発がん性がおそらくある化学物質」としてグループ2Aに分類している。
ただアリストロキアの元々の語源はギリシャ語のアリストス(最良)+ロキア(出産)から。仲間のある種の植物が安産に効果があったことに因むらしい。日本でもウマノスズクサは根や果実が生薬として利用されていた。アリストロキア属の植物はジャコウアゲハなどの蝶にとっては欠かせない食草。幼虫は葉に含まれる毒性物質のアリストロキア酸を体内に蓄積することで天敵の捕食者から身を守るといわれる。
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