く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ミツバハマゴウ(三葉蔓荊)> 枝先に紫色の小花からなる円錐花序

2013年12月05日 | 花の四季

【南九州~沖縄に自生、鹿児島県では準絶滅危惧種に】

 クマツヅラ科(最新のAPGⅢの分類ではシソ科)の常緑低木で、名前の通り1枚の葉っぱが3つの小さい葉に分かれた〝三出(さんしゅつ)複葉〟になっているのが特徴。葉の表面は緑色だが、裏面は灰白色。枝先に淡紫色の小花をたくさん付けた円錐花序を形成する。花期は夏場を中心に結構長い。京都府立植物園では11月下旬になってもまだ多くの花と蕾を付けていた。

 ミツバハマゴウの分布域は南日本から熱帯アジア、オーストラリアとかなり広い。国内では九州南部~沖縄の海岸から少し内陸部に入った明るい林縁部に自生する。一方、同じ仲間のハマゴウは本州、四国、九州の海岸の砂浜に生え、地面を這うように茎を伸ばす。和名のハマゴウも「ハマハウ」からの転訛といわれる。「蔓荊」は漢名から。漢方で乾燥させた実は「蔓荊子(まんけいし)」と呼ばれ、頭痛や風邪などに用いられる。

 ハマゴウは漢字で「浜栲」とも表記される。「栲」は和紙の原料となるコウゾ(楮)の古名。ハマゴウは葉に精油成分を含み芳香を発散することから、かつてはお香や線香の原料としても利用された。そこから和名の由来も「浜香」からという説もある。最近、ミツバハマゴウの園芸品種が「プルプレア」の名前で流通している。これは葉の裏が灰白色ではなく濃い紫色なのが特徴。

 ミツバハマゴウは鹿児島県で準絶滅危惧種に指定されている。西表島と石垣島にはミツバの変種で、5枚からなる複葉を持つ「ヤエヤマハマゴウ」が自生する。沖縄県指定の天然記念物だが、これも絶滅が懸念されている。環境省のレッドリスト1997年版には準絶滅危惧種として掲載されていたが、最新の2007年版では絶滅の危険性が高まったとして絶滅危惧ⅠA類に移された。


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