く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ハルシャギク(波斯菊)> 「ジャノメソウ」の別名も

2022年06月12日 | 花の四季

【北米原産、明治初期に渡来】

 キク科ハルシャギク属(コレオプシス属)の1年草。原産地は北アメリカの中西部で、日本には明治初期に観賞用として入ってきた。こぼれ種でよく殖え、今では野生化して各地の空地や道端、野原、河川敷などでしばしば見られる。名前の「ハルシャ」や漢字の「波斯」は現在のイランを表すペルシャのこと。北米原産なのに「なぜ?」という疑問が湧くが、その由来はよく分かっていない。一説では北米からヨーロッパに伝わりペルシャ地方を経由して渡ってきたのでは、というのだが……。

 草丈は60~100cmで、6~7月ごろ茎の先に小花が集まった直径4cm前後の頭花を付ける。外側の舌状花は黄色やオレンジ色で、中心部の筒状花とその周りは濃い紅褐色のものが多い。それが蛇の目模様に見えるため「ジャノメソウ」や「ジャノメギク」という別名がある。草丈の低い矮性種や八重咲きの品種も出回っている。ハルシャギクは漢字で「春車菊」と表記されることも。ただ秋に咲くコスモスにも「オオハルシャギク(大春車菊)」という和名が付いている。

 学名は「Coreopsis tinctoria(コレオプシス・ティンクトリア)」。属名はギリシャ語で「南京虫(トコジラミの別名)に似た」を意味する。種子が小さな黒い長楕円形で、形が南京虫に似ていることによる。種小名は「染色の」。英国の動植物学者で、長年米国で植物の研究に励んだトーマス・ナトール(1786~1859)が命名した。ハルシャギクの仲間にキンケイギクやオオキンケイギク、ホソバハルシャギクなど。このうちオオキンケイギクは外来生物法で駆除すべき「特定外来生物」に指定され栽培や販売が禁止されている。ハルシャギクは「その他の総合対策外来種」として今のところ規制の対象にはなっていない。


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1 コメント

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命名の由来 (雑草好き)
2022-06-15 10:40:26
はじめまして
かつて筑摩書房が発行していた雑誌「言語生活」に「近代用語の系統、筆者:春山行夫」という連載があり、192号(1967-09)82pの波斯の項でハルシャギクについての考察が載っています。
以下引用します。

ハルシヤは今日ではハルシヤギクという草花の名前に残っているが、(中略)
北米原産で、ペルシアにはなんの関係もないのに、どうしてそんな名前をつけたかは、この花の色彩が黄色や茶色(紅、緑などもあったが)の美しいハルシャ革に似ていたことから出たように思われる。

ハルシャ革をネットで検索しても、語釈以外に写真などを見つけることはできないのですが、たばこと塩の博物館所蔵のたばこ入れだったかハルシャ革を使ったものがかなり前のその博物館サイトに出ていました。
春山氏の説はその後知られることもなく埋もれていますが、一考の価値はあるように思えます。
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