【全国大会出場控えた生駒市立の3小学校も】
奈良県内の小中高校の吹奏楽部や市民吹奏楽団が日頃の練習成果を披露する演奏会「にじいろ吹奏楽」が11月5日、奈良県文化会館(奈良市)で開かれた。奈良県みんなでたのしむ大芸術祭実行委員会、奈良県吹奏楽連盟などの主催。県内各地から26バンドが結集し、約8時間にわたって次々と迫力いっぱいの演奏を繰り広げた。
演奏会は午前10時半、畝傍高校吹奏楽部の演奏からスタートした。司会はラジオやテレビでDJやリポーターとして活躍中の向井亜季さんと、市民楽団セントシンディアンサンブル代表・指揮者の福島秀行さん。長丁場の演奏会のため昼すぎに出かけ午後2時半スタートの生駒高校から終演の生駒中学まで約4時間演奏に耳を傾けた。
県内の市町村では生駒が吹奏楽の盛んな地域として有名。それを示すようにこの日出演した26バンドのうちほぼ3分の1の9バンドが生駒に拠点を置く。しかも生駒市立の3つの小学校は今月11月19日大阪城ホールで開かれる「第41回全日本小学生バンドフェスティバル」にそろって出場する。あすか野小学校ブラスバンドと俵口小学校金管バンド、桜ケ丘小学校ハーモニックバンドクラブ。関西から全国大会に駒を進めた4校のうち3校を奈良県勢、しかも生駒市だけで占めるのだから「すごい」としか言いようがない。
すごいのは小学生だけではない。この日の演奏会を締めくくる生駒中学は全国大会で1988年以来、たびたび金賞を受賞してきた全国屈指の実力校。つい先日10月22日に名古屋で開かれた「第70回全日本吹奏楽コンクール」でも金賞に輝いた。これで2019年から新型コロナで中止だった20年を挟んで3回連続の金賞。実はこの日演奏会の後半に合わせ出かけたのも、生駒勢を中心とする吹奏楽の醍醐味を改めて味わいたいとの思いからだった。
あすか野小学校ブラスバンドは創部29年目。この日は映画「BRAVE HEARTS 海猿」の音楽などを演奏、トランペットの伸びやかな響きが印象的だった。続いて登場した俵口小学校金管バンドは創部36年目。ロバート・スミス作曲の難曲「ダンテの神曲」に続く2曲目はがらっと変わって「ひょっこりひょうたん島」だった。目を瞑って聴くと「これが本当に小学生?」と思わせるダイナミックな演奏。司会の向井さんも指摘していたように「力強い演奏と可愛らしさのギャップ」が印象的だった。
桜ケ丘小学校ハーモニックバンドクラブは全日本小学生バンドフェスティバルで昨年に続き2年連続の金賞を狙う。この日の演奏会は10月に加わったばかりの3年生の新入部員15人にとっては初舞台。横一列になって先輩たちの「花まつり」の演奏に合わせて踊っていた。この後、全日本での演奏曲も披露した。
最後に生駒中学が登場すると、前列のご夫婦とみられる二人のうち男性が何度も右手を大きく振っていた。多分舞台にお嬢さんがいるのだろう(大半が女生徒だったので)。分かる、その気持ち。全国大会で金賞に輝いた自慢のバンドのメンバーなのだから。演奏曲も金賞受賞曲「ジェネシス」と「陽が昇るとき」だった。その迫力満点の大音量と美しい響きが織り成す名演奏に、会場からは拍手が鳴り止まなかった。彼らの演奏を聴くうち、10年前の2012年秋「いこま国際音楽祭」で、フルートなどのソリストと共演した小中学生たちのブラスバンドの演奏を聴いたときの感動が蘇ってきた。