【ヒマラヤ原産、小枝に黄色の6弁花をびっしり】
メギ科メギ属の常緑低木(高さ2~3m)で、日本に自生するメギの仲間。学名「Berberis hookeri(ベルベリス・フーケリー)」。インド北部~ネパール、ブータンのヒマラヤ地方に分布する。枝にはメギ同様、鋭い棘がある。4~5月頃、鮮やかな黄色の6弁花が集まった散形花序を付け、花後には果実が青紫色に熟す。
属名はアラビア語でのメギの名に由来するという。メギの葉や枝はアルカロイド成分の「ベルベリン」を多く含み、目の洗顔薬などに用いられる。和名に「目木」の字が当てられたのもそのため。種小名は19世紀の英国の植物学者フッカー親子への献名。父ウィリアム・ジャクソン・フッカー(1785~1865)と息子のジョセフ・ダルトン・フッカー(1817~1911)はともに王立キューガーデンの園長を務めた。ジョセフは『種の起源』のダーウィンと交流があり、『ヒマラヤ紀行』『英領インドの植物相』などの著作を通して多種多様なヒマラヤ植物の魅力を世界に発信した。
日本のメギの学名は「Berberis thumbergii(ツンベルギィ)」だが、和名には「コトリトマラズ(小鳥止まらず)」という別名もある。こんな変わった名で呼ばれるのも枝に鋭い棘が多いため。さらに本州の中部や近畿に自生する日本固有種のメギの仲間「Berberis sieboldii(シーボルディ)」は「ヘビノボラズ(蛇上らず)」が標準和名になっている。その変種に「ヒロハヘビノボラズ」もある。メギ類は薬用のほか、防犯や害獣侵入防止のため生垣などとしても利用されてきた。