CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】黒い海  船は突然、深海へ消えた

2024-02-17 21:05:01 | 読書感想文とか読み物レビウー
黒い海  船は突然、深海へ消えた  著:伊澤理江

2008年に起きた、小名浜漁協の船沈没事故の真相に迫るドキュメンタリ
本に書かれていた通り、そもそも、この事件自体をほとんど知らないんだが、
発生当初は間違いなく盛り上がっただろうし、
その盛り上がりにおける、無責任なマスコミの暴走のあたりは
最高に気分が悪くなるそれだったわけだけども、
それが飽いたからなのか、するっと何もなくなって、そのまま十数年ほったらかし
気づいたら、波による転覆事故という形で片付いていて
だいぶ怪しいというお話

こういう陰謀論めいたもので、かつ、海の事故といえば潜水艦という
実にありがちな展開で、なんだかなーとか思ってしまったんだが
実際に、潜水艦かともかく、少なくとも事故調査で結論とされたものではなさそうだと
疑うに十分な内容で非常に興味深かった

結局のところは当然、わからないままだが
まぁ、その謎解きというか、謎に迫る部分の面白さが読みどころの中心ではあるものの
ドキュメンタリとして、そのあと2011年に震災にも遭うという悲劇の部分について、
被害者の苦難が見て取れる部分も読みごたえがあってよかった

結局は、そんな複雑な話ではなくて、
事故調査のずさんさが浮き彫りになっただけではないか
そう勘繰ってしまいたくなるような、テケトーな扱いを受ける被害者とか、
国の対応とか、そういうのがまざまざ記されていて
読んでいるだけで腹が立ってくるわけだけども、
はたして、圧力によるものだったのか、本当にお金(調査予算)と興味がなかったという
身もふたもない話だからなのか、最終的にアメリカへの取材がという話あたりが
いつになるかわからんが、答えが出てほしいと思ったりもするのである

しかし、それはそれとして、世の中あちこちで潜水艦事故って起きてんだなと
そっちの方に驚いてしまったのである
それがこの本の最大のテーマなのかもしれん