CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】アフターバブル: 近代資本主義は延命できるか

2021-05-10 20:55:02 | 読書感想文とか読み物レビウー
アフターバブル: 近代資本主義は延命できるか  著:小幡績

資本主義はバブルを作っては壊れて、
それを補うためにまた作って壊れてを繰り返す
そういうものだとして、今後どうなるか、
今どうなのか、コロナ下とはなんなのかを論じた本でした

なんというか、全編に渡って凄い怒ってる

そんな印象を受けるような、ともかく憤懣を炸裂させていると
読んでいて中てられたような気分になる本でありました
正しい指摘もあるのだろうけども、
ひたすら怒っているだけで、具体的にどうするかというところについては、
バブルじゃない方法を考えろに終始しているような
そんな感想を抱いたのでありました
ミクロというでもないが、自給自足的な生活が解だといった感じで語られていたけど
ともかく、今に納得がいかないという説明が多すぎて、
建設的なのか暴言なのかわからない感じが残念に思えたのであります

コロナによって経済がめちゃくちゃにというのは方便で、
実際はバブルが崩壊するきっかけを待っていただけで、
コロナの後、すぐに目先というか、指標的には回復していて、
今世間を覆っているのは不安という、
解消しようのないものだというのは
なるほどと思うところ、それをどうにかするために、
量的緩和の継続と、お金ばら撒きというのはどうなんだと
そこにひたすら怒っているわけなんだけども
確かにそうなのかもとも思いつつも、
この世の終わりがすぐそこにきていてという、
絶望を振りまいている論調なのが、なんというか、残念な気分になってしまうのであった

バブルを救うために、新しいバブルを創るという手法を
次々繰り返してきたけど、いよいよ次にやることがなくなったから
この次、もしくは、その次くらいでこの方法は破綻すると
そういうお話であったわけでありますが
なんというか、読んでいるだけで不安をあおられる
嫌な本だなと思ってしまったんだけど、
実際そうなのかもと思うと、世の中に希望を持てなくなってしまう

青天を衝け  栄一、京の都へ

2021-05-09 20:44:42 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「青天を衝け」
視聴完了であります
長七郎が捕まってしまった、キツネの話は本当に精神を病んでいたということだったのか、
そこまで思いつめていたのかというのが、結構衝撃的だったんだけども、
史実のイベントをうまくドラマにしてるなと感心してしまったのである
なんか、もっとふわっとした理由で捕まったらしいと聞いたんだが、
これだと、必然性ではないが、仕方なさがあるように見えて見事だと思う

さて、京都に出て攘夷がどうしたというところかと思うと、
ただ、飲み食いしているだけというのが、
この時代の若い男は、誰であっても、とりあえず飲み食いして騒ぐというのが
使命なのかと思うほどの浮かれっぷりが面白いところ
それでいて、さらっと、五代様と土方と出会ったりして、
次のイベントへのフラグを立てた感じが心地よいとも思うのでありました

京都に行くというところで、
実際お世話になりたかった平岡様が京都にいるという奇縁は、
本当のところはどうだったのか、平岡様が京都にいるからいったのか
いや、そんな縁は創作なんだろうか、あれこれ考えてしまうんだが
とりあえず知らない内に、大政奉還の話まで出てきていて、
幕末イベントががんがん進んでいるじゃないかと
驚いてしまったのである、
このあたり、幕末ドラマだけど、維新志士の凄いのが友達にいないから
いまいちよくわからんままだな
或る意味リアルというか、市井はあんなもんだけど、
政治はぐんぐん突き進んでいたと思うと凄いことだと改めて思う

結局よくわからないまま、転向したといった具合に
というか、罪から逃れるためにという見方もできてしまう
なかなか、攘夷の志も情けないそれが面白いなと思いつつ
もう、新撰組がぶいぶい言わせていたということは、
江戸で浪士募集してたとか、水戸とゆかりが深そうな芹沢鴨とか
一切出てこないんだと驚いてしまったのである
水戸の天狗党と、鴨はなんかかかわりあると思ってたんだが違うようだわ
そんなあやふや知識ながら、とりあえず、ドラマを追っていくのでありました

あれ?家康今回出なかったんじゃないか?
なくても見れてしまうんだが、ないと物足りない
そんな按配なのでまた、出て欲しいと願いつつ、来週を待つ

【読書】孔丘

2021-05-08 20:49:23 | 読書感想文とか読み物レビウー
孔丘  作:宮城谷昌光

久しぶりに宮城谷先生の本を読みました
どうやら満を持してというよりは、見切り発車でといっても過言ではない
それくらい難しいテーマだったんだそうで、
論語も読んでないへタレでわかるだろうかという感じながら
無事読み終えたのであります
孔子という人の一生をおいかけた小説、論語という思想書とは別の
人間孔子といったものを描いた作品でありました

儒教の祖的な感じで思っていたんだが、
そういうものではなくて、そもそも儒というものは
大昔からあって、かつ、礼や楽といった古学について
より深く探求した人が孔丘という人であった
そういう感じだと認識したのであります
滅びつつあった、かつての思想を取り戻すために学び続けた
その姿に感銘を受けて弟子入りしてくるあれこれ
この勃興期とも呼ぶような時期が抜群に面白かった
宮城谷先生あるある的ではあるが、
序盤は虚実というと語弊があるけども、ロマンをふんだんにまぶした
歴史虚構が素晴らしくて、読み進めていくのが止まらなくなるのでありました

論語を読んでないから、どの弟子がどうで、
どのエピソードが論語のそれなのか
さっぱりわからないまま、でも、孔子という人の思想と
その人が栄達するというか出世するのに賭ける姿が、
その思想から乖離していくようにも見えたりして
複雑なもんだなと思わされたりしたのでありました

孔子が、孔子たる思想を固めてきて
いよいよ礼というものをはっきりと体現しだしてから、
国政にかかわり、大きな物言いによって、その思想を天下に示そうというあたりで
挫折するというくだりは、正直なところ小人たるがゆえんなのか、
むしろ、そうだろうな、孔子のそれは危険というか、
あまりに楽観的にすぎるのではないかと思えたような内容に感じたのでありました
いわゆる、無抵抗主義に近い感じというか、
礼を治めることで、すべての人民が同じように考えるようになれば争いがなくなる
それをまず示すところからというのは、確かにそうだとも思えるんだが
そりゃ危険きわまりない、戦国の世の中でそんな眠いこといってたら
大変だと思ったりしたのでありました
弟子の苦労がよくわかるという感じである

そんなこともあってか、晩年の孔子は天命と称して
ほぼ何もしていないような感じになってしまっているのが
宗教家じみたというか、なんか、過ぎてしまったのだなと思わされるようで
理解されない高邁さは狂人と違わないのかもしれないなんて
思ったりしながら読んだのでありました
凄い思想家であるのは確かだが、それが天下を治める何かになりえたのか、
未だ論語、儒教は広く世に伝わるが、実践されないというあたり
ある種のロマンの塊でしかないのでなかろうか
そんな風にも思ったのであります

こういう先生像というのは、孔子から始まったとみるべきか、
松蔭先生とか、ああいった手合いのそれにも似たものを感じたのでありました

それにしても、あれだけいくつかの国を渡り歩いていたわけだが、
言葉はどうしていたんだろうと、先生をしていた事実があるだけに
ちょっと気になったのでありました
身分問わずに教えていたとすれば、言葉はその地のものでないと
難しいと思われるんだが、どうだったんだろう

【ドラマ】70才、初めて産みますセブンティウイザン。

2021-05-06 21:15:43 | ドラマ映画テレビ感想
NHKのドラマ10枠でありました、
コメディでもっと長い話かと思ってたら、
凄くまじめな、70歳であることを除けば
ただ、初めて親になるという夫婦の姿を描いただけの
ある種平凡な、とても平和な物語だったように思う

物語は、高齢者であること、それが子供を産み育てるということ
それを描いているんだけど、思いのほか、高齢者だからどうしたとか
そのあたりは出てこないのでありまして、
いや、実際は、子供が大きくなる前に死んでしまうだろうからやめておけというのが
一番強い問題だったかなとも思うのだけども、
そういうのをおいといても、ただただ、初めて子供をもった夫婦というのが
苦闘しながら妊娠から出産、そして子育て初期を過ごしていく
ただただ、それを描いているだけのようで、
初めて子育てという人たちにとって、いい話だったように思えたのでありました

一貫して凄いなというのが、旦那役の小日向さんの所作と動向で、
会社は特に何がということもなく、さばさばとやめて
あとの老後をどうしようという、何の変哲もない
ある種面白みのない男という出だしだったんだが、
おそらく、妊娠出産子育て初期の女性というか、妻であり母にとって
最高の旦那であろうという行動がどれもこれも素晴らしすぎて
これは年齢を重ねているからこそなんだろうか、
いや、人間年齢を重ねると気が短くなるから、絶対こんなことねぇだろと思ったりしつつも、
この癒しとすらいえるようなそれこれが
本当にほっこりよかったと思える内容でありました

とりあえず、高齢だからという悲しい話がいっぱい出てくるんじゃないかと
戦々恐々としていたけど、思いのほか優しい物語で、
しんみり見ることができた、ほのぼのドラマだったと思うのであります
よかったんだが、おとなしすぎてドラマとしてどうなんだという意見もありそうだな

【読書】美麗島プリズム紀行

2021-05-04 21:26:59 | 読書感想文とか読み物レビウー
美麗島プリズム紀行  著:乃南アサ

台湾に関する旅エッセーというには、
歴史や、その街に関する詳細な記述が強すぎる
紀行文という表現が適切かわからないが、
観光のそれとは異なる台湾を見せてくれる本でありました

主に日本統治時代との隔たりや、それが今に繋がる様といったところを
少しずつ紡いでいるような内容なんだけども、
難しさや、押し付けがましさみたいなのはなくて、
自然と、台湾のある街で日本の面影がこんな風にあったとか、
台湾はこんな感じになっているといった、ごく自然な風景描写が
見事で読み応えのある本でありました

前作といっていいのか、美麗島紀行が、はたしてどんな話だったか
正直記憶から消えてしまっているんだが、
この台湾に関する精緻な描写、実地から積み上げられた文章というのは
凄くいいなと、勉強するように読み込んでしまった

かつての日本を思わせるそれこれを、台湾がどのようにしてきたか、
特に白色テロの時代なんかについて、あまり日本で知られることのない
台湾近代史にスポットがあたっているのも興味深い内容でありました
決して、日本時代がよかったなんて結論に誤導しない
その当時というものがあり、その時を生きた人たちがいて、
ただ懐かしいという思い出が残っている
そんな当たり前を描こうとしているのが凄くよかった

また、台湾の現代、少し前の総統選のルポなんかも読み応えがあり、
台湾の民主主義というものがどう蠢いているか、
どんな人たちがいるのか、このあたり、危険な感じもある外省人との接見なんかもあったりして
スリリングな読み応えも楽しめたのだった
今となっては近くて遠いとなっているのは同じようで、
はやく行きたいなぁと、読みながら思い起こされた一冊でありました

【読書】キングコング・セオリー

2021-05-03 21:06:32 | 読書感想文とか読み物レビウー
キングコング・セオリー  著:ヴィルジニー・デパント

女性という存在、そしてそこにまつわる問題について扱った本でした
いわゆるポリコレというそれに属するのかとも思うけど、
舌鋒鋭く、女性の権利という始まりではない、
女性というカテゴリをどう扱うか、どう扱われてきたかによって
現代社会に存在する、女性に求められるそれこれを糾弾する
そんな内容でありました

著者が、鮮烈というか衝撃的な人生を歩んだ人でもあるようで、
精神の根幹にパンクロックが存在する
だからこそのこの激しい思想展開が可能なのかしらとも思うのだが、
女性という概念に閉じ込められる苦しさと、
それをすることにより、男性もまた苦しんでいるのではないかという指摘、
そして、女性の権利をうたうという女性たちの中でも、
結局は男性が描いてきた女性から脱却できておらず与しているという喝破が面白い
思想的なマイノリティともいえるのかもしれないけども、
ある種先鋭的過ぎて、誰かと協調するとかそういうのではない
どうカテゴライズしたらいいかわからないが、
その論理展開は正しいと思わせる力があった

生い立ちから、強く性産業についての言及をしていて、
そこがタブーになっていることもまた、
そもそも女性の扱いがどうかしている世の中の副産物
あるいは、政府的なものが強いている現状ではないかというのが
一番強いメッセージだったと思うんだが、
このあたりは、キリスト教的なものとの折り合いもあるようで、
そうではない日本人かつ、男性である自分には新鮮でありました
貞操という概念について、
よくよく考えてみると、西洋と関わるまで日本はおおらかだったとかいうのと
近しいところなのかもしれない
というか、この問題の一番の根っこはキリスト教なのではないかと
そんなことすら思ってしまったのでありました

興味深いのだが、こういう意見の都合のよいところだけを抜き取って、
あれこれと語るようなことが、現状のカオスを呼んでいるようにも思うので
一冊にまとめてあり、この主張というのは
非常にためになるというか、体系だてていたわけでもないが、
意見の一端を読むことができたようで有意義だったと思うのである

青天を衝け  栄一の旅立ち

2021-05-02 21:09:58 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「青天を衝け」
視聴完了しました
すったもんだをしてとりあえず事なきを得た
そんな塩梅でありました
結構唐突な幕臣との出会いというのは、
ドラマチックだからいいかと許容してたんだが
横浜焼き討ち云々については、そりゃそうだろうと長七郎を応援しつつ、
雑な脚本ではないかと勘繰ったら史実なんだそうで、
渋沢さん危なかったんだなと、
その後の日本を大きく損ねるような事態すらあったのかと
思わされたのでありました

まぁ、とやかくと書いているものの
結局のところ、孝行をする親という、ただただその有難さが
かっこよすぎて泣けたというところに終始してしまうのでありまして、
本当、あのできたお父さんはどういうことだろうと
感動しきりでありました
実際、栄一は本当に頭よかったんだろうな
そうでなくては、ああまで賭けられないだろうと思ったりするんだが
ともあれ、親子の情というものを見せられた、
子供を思う栄一よりも、栄一を思うお父さんのほうに
感動したというお話でありました

しかし、あの大雑把な計画がちゃんとつぶれてよかったとは思うものの、
あんだけ、嫁に向かって反省しておきながら、
危ないからと京都に行くというのは、なかなか薄情じゃねぇか
というか、あれでいいのか嫁はと、ちょっとかわいそうに思ったりしたんだが
志のある男というものは、ああいうもので、その嫁というのは
ああいう目にあうものだといわれてしまえば
まぁ、そういうものかと思ってしまうわけなんだけども、
とりあえず、今回でひと段落して、京都編と、
幕末感がよりましてくるのが楽しみなのであります

ところで、天狗党の乱っていつごろの話なんだろうか、
そっちが気になっている

【読書】おいしい昆虫記

2021-05-01 20:50:43 | 読書感想文とか読み物レビウー
おいしい昆虫記  著:佐伯真二郎

昆虫食に心奪われた著者の奮闘記録でありました
まだまだ道半ばといった具合だけども、
昆虫食を世の中に広めるため、どのようにしていくべきか
その考えをまとめながら、面白おかしい読み物とした内容で、
真顔でボケてるような文章というか、流れがなかなか珍妙で
味わい深い読み物であります
なかなか、ゴキブリを食べるということに抵抗を感じないで
さらさら前に進める人類はいないと思う
この人はどうもおかしいが、あえてそこを避けて、
世の中のほうがおかしいという、一種狂人めいた思考が楽しい

前に読んだ、違う本にも書いてあったけども
やはり、セミは美味しいようで、こちらでは
セミの羽化直前の幼虫の美味しさに言及されていて、また、
それの捕獲方法についての詳細な記録もよかった
だんだん、セミを食べるということに近づいてきてしまったような
私自身がそう感じるようである

理系学生で、気付いたらマスター、ドクターまではまだいってないと
非常によろしくない状況のまま、就職先も見つからず
気付いたら、昆虫を食べるという奇妙な趣味に
とりつかれているという状況になっている
本人と、この本の中では、一切、取り付かれたとか、執心したとか、
昆虫食について、あまり印象のよくない言葉で語られることが
一切発生しないのが潔いのだけども、
そのあたりから、著者の珍妙さが透けて見えるようでよかった

ハチノコ、イナゴなんていう、初心者向けというか
もはや食べ物として確立されたものにはあまり興味がないのか、
もう通り過ぎてしまっているのか、記されることが少なく、
もっぱら、最近話題のコオロギに対抗するためのバッタやら、
マダガスカルゴキブリやら、カイコ系の大型燐翅目の幼虫や蛹なんかへのアプローチが多く、
ゆくゆくは、昆虫図鑑に味も載せたいと
そんなことをひそかに思いながら活動をしていた記録が載っている

昆虫食そのものへのアプローチと
それがまったく回りに理解されないまま、
ある種地下組織めいた昆虫食クラスター的なところに
活路というか、楽しみを見出したりする日々から、
気付いたらラオスにいって、食糧事情改善のため昆虫食研究をいかすという
壮大なNGO的プロジェクトに携わるようになってと
破天荒というか、ちゃんと前身してる様が
なんとも読み応えのある内容であったと思うのでありました

味についてというか、昆虫を食材として扱うために、
どのような料理方法がよいのか、どういった味かというところに
とても詳細な記述を作っていて、本当に図鑑に載せたいんだなと
そのあたりはよくよく伝わってくるし、真摯だと思えるのだけども、
どっかの漫画家みたいに、とりあえず蜘蛛を捕まえたから
味をみておこうみたいな思考回路は、どうだろうと思わされたりしつつ
昆虫食という分野への興味をそそられる
秀逸な一冊でありました

しかし、姿のまま食うのはやっぱり無理があるから、
そのあたりから改善いただきたいな