CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】おいしい昆虫記

2021-05-01 20:50:43 | 読書感想文とか読み物レビウー
おいしい昆虫記  著:佐伯真二郎

昆虫食に心奪われた著者の奮闘記録でありました
まだまだ道半ばといった具合だけども、
昆虫食を世の中に広めるため、どのようにしていくべきか
その考えをまとめながら、面白おかしい読み物とした内容で、
真顔でボケてるような文章というか、流れがなかなか珍妙で
味わい深い読み物であります
なかなか、ゴキブリを食べるということに抵抗を感じないで
さらさら前に進める人類はいないと思う
この人はどうもおかしいが、あえてそこを避けて、
世の中のほうがおかしいという、一種狂人めいた思考が楽しい

前に読んだ、違う本にも書いてあったけども
やはり、セミは美味しいようで、こちらでは
セミの羽化直前の幼虫の美味しさに言及されていて、また、
それの捕獲方法についての詳細な記録もよかった
だんだん、セミを食べるということに近づいてきてしまったような
私自身がそう感じるようである

理系学生で、気付いたらマスター、ドクターまではまだいってないと
非常によろしくない状況のまま、就職先も見つからず
気付いたら、昆虫を食べるという奇妙な趣味に
とりつかれているという状況になっている
本人と、この本の中では、一切、取り付かれたとか、執心したとか、
昆虫食について、あまり印象のよくない言葉で語られることが
一切発生しないのが潔いのだけども、
そのあたりから、著者の珍妙さが透けて見えるようでよかった

ハチノコ、イナゴなんていう、初心者向けというか
もはや食べ物として確立されたものにはあまり興味がないのか、
もう通り過ぎてしまっているのか、記されることが少なく、
もっぱら、最近話題のコオロギに対抗するためのバッタやら、
マダガスカルゴキブリやら、カイコ系の大型燐翅目の幼虫や蛹なんかへのアプローチが多く、
ゆくゆくは、昆虫図鑑に味も載せたいと
そんなことをひそかに思いながら活動をしていた記録が載っている

昆虫食そのものへのアプローチと
それがまったく回りに理解されないまま、
ある種地下組織めいた昆虫食クラスター的なところに
活路というか、楽しみを見出したりする日々から、
気付いたらラオスにいって、食糧事情改善のため昆虫食研究をいかすという
壮大なNGO的プロジェクトに携わるようになってと
破天荒というか、ちゃんと前身してる様が
なんとも読み応えのある内容であったと思うのでありました

味についてというか、昆虫を食材として扱うために、
どのような料理方法がよいのか、どういった味かというところに
とても詳細な記述を作っていて、本当に図鑑に載せたいんだなと
そのあたりはよくよく伝わってくるし、真摯だと思えるのだけども、
どっかの漫画家みたいに、とりあえず蜘蛛を捕まえたから
味をみておこうみたいな思考回路は、どうだろうと思わされたりしつつ
昆虫食という分野への興味をそそられる
秀逸な一冊でありました

しかし、姿のまま食うのはやっぱり無理があるから、
そのあたりから改善いただきたいな