CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】ぼくがアメリカ人をやめたワケ

2021-05-31 20:50:43 | 読書感想文とか読み物レビウー
ぼくがアメリカ人をやめたワケ  著:ロジャー・パルバース

テレビで見たことある人なんだろうけど、
知らないまま読んだのであります
タイトルから、てっきり、在日アメリカ人が帰化した話かなと思ってたら、
日本に親しんでいたけども、国籍はオーストラリアと変化球で、
内容はその半生と哲学的な思索で彩られた本でありました

アメリカ人というか、アメリカ出身ではあるものの
ルーツとしてはユダヤ人にあたるそうで、
大学の専攻やらあれこれは東欧、時代的に米ソ冷戦時代に、
東側と呼ばれるそれこで勉強をしていたけども、
スパイを疑われたり、なんだかんだと大変だったそうである

その後、お決まりのといっていいのか、
アメリカに対する疑問を覚える若者になって、
ベトナムの失敗だとか、そのあたりにおける、アメリカの傲慢さというのに
疑問を覚えたというお話から、日本の戦争についての態度や、
結構、あっちこっちに話が飛びつつ、
思想的な問題や、国民性、平和についてなんかをルーツを織り交ぜつつ
あれこれと語った本でありました

結局なんだったのかという、結論のある本ではないのだけども、
3.11の震災を含めて、昨今の日本のありようが、
どうも第二次大戦中の日本のそれに近づいているんじゃないか
そんなことを危惧しているといった感じの論調でありまして、
そのあたりは、そう見えるものかもしれないし、なんともいいようがないのである

忖度という文化といってもいい、不思議な慣習について
世界的にもあるけど、日本においては特に顕著になるそれというのを
鋭く指摘している部分は面白いというか、
やっぱりそういう感じだよなと、なんとなく思っていたことを
わかりやすく言語化してくれているようでよかった
あとは、物凄く宮沢賢治が好きなんだということもわかった
チェーホフとか東欧の戯作が、根底にあるようで
その哲学的な思考が、面白く読めたと思ったのでありました

ともあれ、これがという強いメッセージを前面に押し出したものではないので、
緩やかに、戦後から60年代くらいを多感な時期として過ごした人の今といった感じがした