CLASS3103 三十三組

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【読書】黒牢城

2021-10-20 20:47:43 | 読書感想文とか読み物レビウー
黒牢城  作:米澤穂信

戦国時代、有岡城に立てこもった荒木村重を主人公にした、
戦国時代推理小説でありました
面白かった、設定も内容も完全に戦国時代なのに
展開は推理小説のそれというのが、個人的には斬新に感じた
こういう時代小説とも呼べるものがあるのか

籠城中に起きる、謎の不審死や、裏切りといったことについて、
村重が解こうとするのだが、どうしてもわからない、
そんなとき、牢に閉じ込めた黒田官兵衛に尋ねに行くといった話で、
そんなわけあるかと思いつつも、
この設定はすごい面白いなと、実際にあったらドラマチックというか
漫画的すぎるだろうという内容がとてもよかったのでありました

城内に、腹を割って、同じレベルで話をすることができるのは、
捕虜の官兵衛しかいない

この設定は、結構ありそうでなかったような気がして
すごくよかったのでありました
その関係性も、最後のオチに向けての前振りであるというのも
よくできてるなーと、感心しきりだったんだが
時代小説ではなく、推理小説を読んだという満足感が非常に高い内容だったと
思うのでありました

作者の得意とするといってしまったら、
失礼なのかもしれないけども、
キャラクタの配置と関係性のうまさが抜群に光ったといえる、
こういう設定の、こんな話を書いてみたと
まさにそれが、すごい高いレベルで適っている感じで、
人間の悲喜こもごもも描きつつ、
頭のよい人が追い詰められる姿、その思考が暗くなっていく様というのが
すごくよいと思えてならんのでありました

毛利の援軍がこない、
その先に待つものが、村重には見えてくるけど見たくない、
それを指摘する官兵衛というのがまたいいわけなんだが、
実際に村重という頭のいい武将が、信長への叛旗を翻し
それがとん挫していく途中というのは
どういう心持で、どんな追い詰められ方だったかというのが
なんとなし、伝わってくるような
追い詰められる知能犯的な楽しみもあったように思うんだが
こういう視点で歴史を見るというのは
面白いものだなと、やっぱり、感心がまさってしまうのだけど
楽しめた小説でありました


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