
昔となんにも変わらない、なんのことはない夕暮れ時。
でも、もしかしたら、夕方の景色が、全然違ってしまうかもしれない。
大相撲が、大変。
今まで、何度か書きましたが、僕は相撲が大好きでした。
過去形なのは、ここ最近は、昔ほど観てなくて、力士の名前もおぼつかなくなってきてしまっているからです。
母や祖母ら、家族が皆大好きだったので、子どもの頃の家の中、夕方には相撲中継の音があたりまえのようにありました。
北の湖とか、初代貴乃花が大活躍していて、毎日「キャーキャー」言って応援している声を聴いていました。
そして、やがて千代の富士の時代が訪れ、僕も自分から相撲を見るようになりました。
そして、あの若貴ブームの時代に、僕の相撲熱はピークを迎えました。
部屋にお相撲さんの絵葉書(かっこいいんです)を額に入れて飾ってたりね、
留守番電話の応答メッセージの後ろに、わざわざ相撲の呼び出しさんの声を入れたりね。
「・・・ひがぁ~しぃ~、まいの~~ぉぉうぅ~みぃ~・・・はい、川村です。ただ今、電話にでることができません。ご用の方は発信音のあとにメッセージをお願いします。(カキン、カキ~ン(呼び出しさんの拍子木の音))・・・ピー。」
みたいな。ほんとの話ですよ
(笑)。
本場所中は、できる限り生放送でテレビにかじりついて観てました。
で、夜にはまた大相撲ダイジェストを観るんですけど(笑)。
新聞の星取表を見ては、「うーん、〇〇〇は、今場所はきついかなぁ・・・」なんて、ぶつぶつ言ったりね。
二代目貴乃花の横綱昇進の特番とか、VHSで録画したのを、今でも持ってます。
こんなですから、相撲関係の本も随分読みました。
タイトルは全然うろおぼえですが、よくある「大相撲雑学100」とか、「どんどん大相撲が面白くなる本」とか、そういうようなやつです。
当然、大相撲の歴史なんかも書いてあってね。
結構赤裸々な事も書いてあったりもしました(今でも、手に入るのかな・・・。)
赤裸々なことってのの一つが、今問題になっている、八百長に関するお話でした。
これは、嘘偽りなく、
当時、僕はそれらの何冊かの本で、普通に「注射相撲」について、読んで知ってました。
「注射相撲」というのは、要するに、今騒がれている八百長のことです。
対して、真剣に取り組むことは「ガチンコ」といいます。
絶対に注射(八百長)をしない力士を「ガチンコ力士」と言い、注射をする力士は「注射力士」と言います。
例えば一方、7勝7敗で、番付も前頭の下の方ギリギリあたりで千秋楽を迎える力士。仮にAの海、とします。
かたや、もう10勝をあげ、勝ち越しが決まっている力士。仮にB山、とします。
僕は、取り組みが始まる前から、「あー、こりゃAの海が勝つなあ」って、当たり前のように思って見てて、大抵、そのようになります。
で、今騒がれているように「なんてことだ!」
って、思っていたかというと、
「はい、良かった良かった。で、次の取り組みは・・・」
だったです。だって、当たり前でしたから。7勝7敗で、番付がギリギリなら、勝つのが。
もうね、ほんと、今の風潮に申し訳ないんですけど、日本人独特の「お互い様」という感覚だとくらいに思って、全然不思議に思わず見てました。
これ、僕だけだったか、と言いますと、当然、そんなことはなく。
っていうか、いちファンの僕ですら、その勝ちを当然のように予想できて、その通りになるなんて、
そりゃあ当の力士の人たちだって、親方衆だって、相撲協会の人たちだって、理事の人たちだって、それを伝えるキャスターや解説者、新聞社やテレビの人だって、
だれだって・・・ねえ。
スポーツなんだから、真剣にやるべき。
はい、これもごもっともであります。
でも、注射力士だって、ガチンコ力士と対戦するときには、ちゃんとやる。当たり前ですが。
それでも、それなりの番付に位置しているのですから、まったくなんの努力もしない、ただのズルの人ではないのです。
でも、それでも、一回でも、ズルはだめ!そんなやつは追放!
・・・という今の風潮。報道。
なんで今さら、と僕は思ったりもしますが、そんなこと言っちゃいけないんでしょうね。
ってか、・・・相撲は、元々が見世物です。
ちなみに国技でもないし(日本には、国が認めた国技はありません。柔道や剣道も、相撲と同じく、国技と認識されているもの、にすぎません)。
いや、まて。それをいっちゃあおしまいだ・・・。国技でも何でも、とにかくだめだ。うん。そうだね。
そう、公益事業として、財団法人として、お金を集めていたわけですから、今回のように大勢の人に後ろ指をさされては、これは難しい。
なんらかの釈明はしなくては、解決をしなければならない。
ただでさえ、事業仕分けなどで、目が厳しくなっている今、今回のことは、まさに、事件。
つまり、時代が、変ったのです。もはや、「はいはい、良かったね」では通用しなくなったと。
まして、これからはそんな相撲は難しいでしょう。「なんだ、今のは!」と、毎回大騒ぎになります。
ちなみに、当時読んだ本では、注射を依頼する際には、付け人を相手方の支度部屋に走らせたそうです。付け人が交渉人だったわけですね。
今は、メールだったようですね。そして、そのメールが、大量に見つかったことが、今回の事件を、どうしても見逃せないものしました。これも時代の流れですね。
全部ガチンコ力士だけになって、ガチンコの取り組みになったら、
今まで皆さんが、僕たちが、みてきた大相撲は、まるで様相の異なるものになるでしょう。
ただでさえ、年2場所から、年6場所になって(1958年~)、休養が減った分、怪我が増え、
食べ物が良くなったせいか、現代の力士の身体がずんずん大きくなった分、怪我が増え、
そして、さらに骨格の違う外国人力士の登場で、怪我が増えているんですよね。
これで、全員が全部真剣勝負になったら、もっと怪我も増えます。
だってね、力士って、全スポーツの選手の中で、一番力が強い人たちなんですよ。
握力100キロとかあって、突進してきたら、ちょっとした自動車がぶつかってくるようなものなんですよ。
いくら鍛えた身体だって、身体がもちませんよ。今でさえ、テーピングしてない力士なんていないんですから。休場する力士も、増えるでしょう。
そして、何がなんでも、勝つ。どんな手を使ってでも、勝たなければならない。だから、・・・お客さんが見ていることなんてもう考えていられない、喜ぶかどうかなんて、関係ない、勝てばいいんだ。
そんな取り組みになるかもしれません。そんな、見たこともない相撲になるかもしれません。
あ、でも、だからといって、八百長はだめ。
なんですよね。はい。
お互い様とか、何いってんの?
なんですよね。
すみません。
ただ・・・
これは大変だ、とは思うです。
もう、ここまできたら、後戻りはできないでしょう。
マスコミも、警察関係者も、今さら出した矛(ほこ)を引っ込めるわけにはいかないでしょう。
(みーんな、昔から知ってたことなのに!)
あの、家族皆が大好きだった相撲は、もう観れないのかもしれないですね。
・・・切ないです。
ではー。