連日のニュースで取上げられているのでご存知だと思いますが、エジプトが燃えています。
昨年末、チュニジアで起こった23年の独裁体勢崩壊(民主化革命)劇は、今年に入って、事実上、大統領の亡命という形で民衆が勝利しました。
国民が、大統領を国の外にまで、追い出しちゃった形です。
ちょっと今の日本ではイメージしづらいですね。
総理大臣が国外に逃げないとならない事態・・・なんて。
そして、このチュニジアで起こったうねりは、イエメン、ヨルダンにも波及して(こちらは、まだ決着が付いていません。これから大変でしょうね)、そしてついに、大国エジプトが、大変なことになっています。
32年(!)も独裁を続けていたムバラク大統領は、ようやく時期総選挙の不出馬を発表しましたが・・・(82歳ですよ。まだ続ける気だったのでしょうか。なんか、凄いですよね)、
なんだか、これも、一旦動き出した民衆にとっては、火に油を注ぐようなものな気がします。即時退陣を求めて、さらに反政府運動は強まって、・・・ずぶずぶなことになりそうな感じがしますね。
今回の中東の反政府運動(というか、革命ですね、これは。そういう言葉を使いたくない勢力には、あくまで「反政府運動」と。日本も、そういう報道をしています。)には、フェイスブックやツイッターなどのSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)が、大きな役割を果たしていると言われていますね。
インターネットが、世界を動かしてしまってるんですね。新世代の革命、と言われています。
こういう事件を見ると、もしも、もっと昔からインターネットがあったら、東西冷戦の終結とか、ベルリンの壁崩壊とか、もしかしたら、ずっと早い時期に起こってたかも・・・なんて思います。
知らないことで、それなりに秩序を保っていたものが、知ることで、崩壊する。
僕のモットーの一つに、「ご飯は美味しく食べる」というのがありますが、
・・・あ、じゃない(笑)、「知らないことは知りたい」というのがありますが、
それが、こういうことにも繋がるとは。目の当たりにすると、ちょっと恐ろしい気もします。
ただ、それが結果的に、それをした人々のためになるなら、経過は必要な経過だとも思います。
搾取され続けていた、抑圧され続けていた人々が、知ることで立ち上がったのなら、・・・団結することで立ち上がれたのなら、それは歴史の必然。
インターネット時代がいよいよ世界中に広がってきた今、起こるべくして起こった出来事だといえるでしょう。
(ネットやケータイ・メールが当たり前のネット先進国である日本人にはイメージしづらいかもしれませんが、インターネットは、今まだ、世界に向けて、広がっていっている途中段階です)
ただ、広がる速度がすんごい。びっくり。
ネットの情報は、ほぼ瞬時に世界中に伝わることを考えたら(←これがとにかく凄いこと)当たり前ですが、今回の騒動、このまま中東&北アフリカのアラブ、イスラム諸国はどうなっちゃうんでしょう。
僕も今まで何度か触れてきましたパレスチナ問題にも、きっと、いえ、間違いなく、強い影響を及ぼすと思います。
ってか、みーんな民主化しちゃったりして。独立しちゃったりして。
これはもう、とんでもない大革命ですよね。世界地図が、また変るかもしれませんね。
このエジプトの運動では、アメリカの立場が微妙っぽいです。
今までの独裁政権は、・・・イスラム国家でしたが、実は超親米でした(政治とはこういうもの)。
エジプトは、アメリカにとって大切なイスラエルに手出ししない、とか、反米国家のイランとかとは仲良くしない、とかの(裏)約束をずっと守って、ひいては、アメリカ軍の基地まで国内に置いてたんですから。
ある意味、長い間、これで一つの秩序が守られていたのですよね。
エジプトは、アラブの盟主(盟主=仲間内で中心となる人や国)でもありつつ、アラブの敵であるアメリカに寄り添って成り立っていたのです。
で、今回、民衆がとうとう、立ち上がった。「おかしいだろう!」と。インターネットが、情報を流し、それを煽った。
普通は外にでないはずの女性までもが、デモに参加するという、なんだか宗教を超えたかのような異常事態になっています。
結果、本当の(この表現でいいのかは分りませんが、本来的な、反米の、と言ってしまっていいかな。)純イスラム国家として、今、エジプトが生まれ変わったら・・・。
その影響力は、計り知れないでしょう。
ちなみにアメリカは、「民衆を支持する」って言ってます。国債立場上は、そう言うしかないですものね。
アメリカも今は国力が弱まってますから、様子を伺いつつで、あまり強くも出られない、というところでしょうか。
とにかく、今までの長い長い均衡が崩れるわけですから、びっくりするようなことになるかもしれませんよ。
今でも、もう経済的な影響は出始めています。物資は不足、観光などの産業は大打撃、国債も格を下げられ、普段の生活、国としての存在双法(本来、リンクしているものです)に、大きな影響を及ぼしそうです。
とはいえ、ここまで読んでいただいて「エジプト・・・アラブ・・・んー、あんまり実感わかないねぇ」という方もいらっしゃるかもしれません。
まあ、日々、日本にニュースが入ってくるような国じゃないですからね。遠いし。
それも当然だと思います。
僕は、前にも書きましたが、子どもの頃、父の仕事の関係で来日していたエジプト人がうちに泊まっていったり、遊んでもらったりしたことがあって、
この一連のニュースを見て、もう30年も昔のこととはいえ「あのシャブラウイさんは、こんな中、どうしてるのかな・・・」と思い出してしまうのです。
一人、知っている人がいるだけで、随分とニュースの見え方は変わるんですよね。・・・元気で生活してくれてればいいのですが。
はい、個人的なことは、さておき。
で、今、エジプトでは、国が「インターネットの接続を出来ないようにしてやる!」、とかやってますよね。チュニジアでもやってました。
そして、また民衆が怒る。
でも、このままネットで革命を煽動され続けたら大変!という国側の思惑も、これまた当然。
そりゃ怖いでしょう。誹謗中傷どころか、知られたくないことが、世界中から書かれたりするんですから。もう匿名で、バンバン。
中には嘘も混じってたりもするでしょうが、それも、こういう時は判別など付かないもの。都合よく解釈されて、瞬時に広がっていく。
冷静な判断力を奪い、暴力も生む。
ネットの一番の怖い部分です。
でも、知りたいものは知りたいのだ!というのが民衆の気持ちも、当然。
色んな情報が流れてしまった。今まで知らなかったことを知ってしまった。
「ちきちょー、よくよく知ってみたら、親米政権だったんじゃないか!」
つまりこれは、ムバラク政権に対する民主化の要求という反乱は一つの表の顔で、実はその後ろにチラチラと見えてきてしまったアメリカに対する反乱だとも言われています。
先の理由で、ごもっとも。知れば納得、あったまにきた!というわけです。
元々、彼らは親米ではありませんから。
宗教的な対立は、今なお、根深いのです。ってか、イスラムとキリスト教の思想の対立は、これからも埋まることは無いでしょう。そういう教えですから。
ところで、やっぱり、情報規制は、難しいことが分ってきました。
国家転覆が、こうも簡単に(簡単に・・・ではないでしょうが。思いがけず、あっという間に)行われてしまう。
ネットって凄い、ネットって・・・怖い。
はい、そこで、お隣です。中国です。
こちらも、ネットの規制が凄いですよね。
ウィキペディアも見れないし、Youtubeも見れない。Googleもダメ。
「天安門事件」とか、「ダライ・ラマ」などの単語も、規制対象で、検索できません。
「言論の自由」「民主化」という言葉もダメ。
これ、いつまでできるでしょう?
中国人は、今もこれからも、どんどん海外に出て行くでしょう。日本にも、物凄い数の中国人が来日してますよね。
日本のネットには、規制はありません。他の多くの海外の国でも、自由に情報を見ることができます。
これから先も、永遠に、漏れなく、今までどおりの情報操作ができるなんて、ちょっと無理でしょう。
自分の国の実情を、知る。
ネットで、国家の嘘や、思想のコントロールの実態や、政治的戦略を、知る。
自分たちがが、思想的に抑圧されていたことを知る。
さて、何が起こるでしょうか。
そうなんですよね。今、アラブ諸国で起こってることが、中国では起こらないなんて保障はどこにもないのです。
むしろ・・・もっともっと、強烈なカタチで起こるかもしれませんよね。
ほんの、すぐ、お隣で。
日本企業も、日本人も沢山いる、日本と今や関係の深ーい、お隣で。
ではー。
---追記。---
コメント欄でも教えていただきましたが、12月にご一緒したギタリスト、
スーさんこと、鈴木一義さんのブログに、エジプト人タレントのフィフィさんのブログが紹介されておりました。
「エジプトの夜明け~新たな一頁へ」
と題されたこちらの記事、こちらでもご紹介させて頂きます。
是非ご一読頂ければと思います。
http://ameblo.jp/fifi2121/entry-10788441634.html
エジプトの方だから書けるリアルで、忌憚なき素晴らしい記事です。
全部読んでいただきたいのですが、ここは、というところを、一部分、抜粋させて頂きます。
「エジプトは他のアラブ諸国に比べたらただ一点を除いては不自由なく生活している国ですからね。はっきりいいましょう、ムバラクは確かに長年政権を握ってきたので独裁政権です。しかし、それはアメリカの作った親米政権による独裁であるわけで、国民はその親米による独裁に憤慨しているのです。それはなぜ独裁政権である同じアラブの隣国リビアではこの時期に革命が起きないかとゆう理由が物語っています。」
やはり、です。
中国は戦々恐々としていると思いますが、アメリカもまた、別な意味で戦々恐々としていることでしょうね。
ではー。