「鉄道員(ぽっぽや)」「あ・うん」などを手掛けた監督・降旗康男と撮影・木村大作が
9年ぶりにタッグを組み、岡田准一を主演に迎えたヒューマンサスペンスで、ひとつ
の殺人事件の刑事・容疑者・被害者として再会した幼なじみ3人が、心の奥に封印
してきた過去と向き合う様子を描いた作品です。
岡田准一、小栗旬、柄本佑、長澤まさみ、木村文乃、安藤サクラ、吉岡秀隆らの顔
ぶれに、主人公の母親役で出ているりりィの遺作でもあります。
私はわざと事前に何も調べないでこの作品を見ました。俳優さんたちはみんな個性
的でいずれも好演です。物語の展開は最初から思わせぶりたっぷりで、それが上手
くつながって行けばいいのですが、仕上がりは全体的に肉圧が薄く、思わせぶりが
上手く消化されていません。
原因は脚本のネリが悪いのと演出の力不足です。捜査会議のシーンでは6台のカメ
ラで全方向から狙ったカメラで一発撮りをやったそうですが、特に効果があったとは
思えませんし、力を入れるべき場面が他にあった筈。結局は折角面白い題材なのに、
中途半端な作品になってしまい残念の極みです。