「ファミリー・ツリー」のアレクサンダー・ペイン監督が、頑固者の父親と、そんな
父とは距離を置いて生きてきた息子が、旅を通して心を通わせる姿を描いたロ
ードムービーで、今年のアカデミー賞作品賞にノミネートされました。
映画を見るまでモノクロ作品とは知らず、途中からカラーになる趣向だろうとの
ん気に構えていましたが、カラーを超えた力強いモノクロ作品でした。
モンタナ州に暮らす頑固な老人ウディ(ブルース・ダーン)のもとに、「100万ドル
に当選した」というインチキ臭い手紙が届きます。
それをすっかり信じ込んでしまったウディは、妻や周囲の声にも耳を貸さず、歩
いてでも賞金をもらいに行くと言ってきかないのです。
そんな父を見かねた息子のデイビッド(ウィル・フォーテ)は、父を車に乗せてネブ
ラスカ州を目指しますが、インチキの手紙を信じる父親に、それがハズレだと納
得させるのが目的だったのです。
途中で父が騒動を起こしては回り道ばかりしていた二人でしたが、立ち寄ったウ
ディの故郷で両親の意外な過去を知ります。
そしてウディに賞金を分けろと言い寄る親戚や旧友を乗り越え、二人は目的地に
着きますが・・・。
まず、アレクサンダー・ペイン監督のユーモア溢れる演出で、人間味溢れる親子
の姿を描いた手腕を褒めたいと思います。
そして、ウディを演じた主演のブルース・ダーンはこの作品でカンヌ国際映画祭男
優賞を受賞していますが、息子役のウィル・フォーテも中々いいし、母親役をはじ
め二人を取巻く面々も独特の西部ローカルの雰囲気を出して素晴らしい展開を見
せてくれます。
私は既にアカデミー賞作品賞を獲った「それでも夜は明ける」をはじめ、ノミネート
された作品も何本か見ていますが、今のところ私はこの「ネブラスカ ふたつの心
をつなぐ旅」と「ゼロ・グラビティ」が特に好きです。
