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「大統領の執事の涙」
7人の米国大統領に仕えた黒人執事の実話を基に、彼の苦難だった人生を通し
て激動のアメリカを描こうとするヒューマンドラマです。
綿花畑の奴隷として生まれたセシル・ゲインズは、1人で生きていくため見習いか
らホテルのボーイとなり、やがて大統領の執事にスカウトされるのです。
キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争など歴史が大きく揺れ動く中で、セシ
ルは白人に従順に仕えながらも、執事としての誇りを胸に、30年にわたり7人の
大統領の下で働き続けます。
しかし彼の家族では家庭が崩壊するする不安から酒におぼれる妻、白人に仕え
ることに反発して反政府活動に身を投じる長男、ベトナム戦争へ志願兵として赴
いて戦死する次男など、セシルだけではなく家族もまた、激動の時代に翻弄され
て行くのでした・・・。
主演は「ラストキング・オブ・スコットランド」のフォレスト・ウィテカー。監督は「プレ
シャス」でアカデミー賞を受賞したリー・ダニエルズで、この膨大なストーリーを正
攻法の演出で引っ張って行きます。
この作品以外にも、最近では「42~世界を変えた男」も然り、今年のアカデミー賞
作品賞に輝いた「それでも夜は明ける」も、黒人差別がはびこっていた時代の実
体を生々しく描いた作品であり、今さらながらアメリカの人権問題を振り返ってみる
いい機会だと思うのです。
オババ大統領の出現で、この問題は全て解決という訳には行かないのは、最近
の世界とアメリカの情勢を見比べ、これからの起こり得る問題と併せて考えてみる
キッカケになる作品でもあるような気がします。
内容的にはもう少し大統領とのつながりとか、ホワイトハウスの内部の人間関係
とかを描くと、もっと深みのある作品になっただろうとは思うものの、若き日から晩
年までの主人公を見事に演じたフォレスト・ウィテカーはじめ、出演者の熱演・好演
がとても見事な秀作です。是非ご覧ください。
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「キック・アス ジャスティ・フォーエバー」
第1作は2010年に公開され、大人気だったマーク・ミラー原作のコミックを映画化し
たものですが、今回はその続編で監督も新人のジェフ・ワドロウの変わっての第2
作です。
今ではキック・アス、ヒット・ガールというヒーローの姿を捨て、学園生活に戻ってい
るデイブ(アーロン・ジョンソン)とミンディ(クロエ・モレッツ)でした。
しかし、卒業がせまり将来について考えたデイブは、スーパーヒーロー軍団ジャス
ティス・フォーを新しく結成し、世界の平和を守ることを決意しますが、ミンディは養
父から普通の女の子になるように諭され、ヒット・ガールを封印します。
一方、キック・アスのために父親を殺されたクリス(クリストファー・ミンツ=プラッセ)
は、復讐のため悪の化身マザー・フッカーとなり、世界各国から凄腕の暗殺者を結
集、破壊と悪の限りをつくしはじめます。
その魔の手は、打倒キック・アスを誓うレッド・ミストがマザー・ファッカーと名を改め、
悪の軍団を率いて姿を現し、遂にはディヴの父親にまで迫ってきたのです。
対して正義の集団は魔の手を撃退出来るか、そして肝心のヒット・ガールは闘いの
場に姿を現すか・・・。
前作のクロエ・モレッツが可愛く小気味良かったので期待して見た第2作でしたが、
第1作を上回る続編はなしというジンクス通り、新味はなく面白さが低下してしまっ
た第2作です。
しかも原作がコミックだから仕方がないとしても、大人向けのガキ映画の感じですし、
セリフも演技も悪趣味の羅列で下品というか汚れ過ぎです。
もし第3作が出ても絶対に見ないと思わせる今回でした。