調子に乗って、松本清張さんの、清張通史を読んでみることにした。
難易度高い。あれだけ、すばらしい推理小説を多く書かれた松本清張さんだが、歴史ものもこれだけのものを著していたのだ。専門家でない限り、ほとんどの人が、この情報量と、持論の確かさに圧倒されるだろう。
1巻は、題名の通り、邪馬台国についての話。
高校の時日本史でもずいぶん習ったような記憶があるが、さっぱりわからなかった。本書によるとそれは当たり前、書いてる方もよくわかっていなくて、報告を元に手さぐりで書いていたと思われるのだ。
邪馬台国についての本は随分読んだが、本当にさまざまな説があり、その説が唱えられたタイミングもぐちゃぐちゃなので、ほとんどわかりにくいしそれを整理する気力もない。
清張さんは、たぶんそれらの様々な説を踏まえて(もちろんその後の考古学的発見は別として)、この通史で、日本の古代史をまとめられた。
松本さんの説は、以前も紹介したかもしれないが、魏志倭人伝に出てくる邪馬台国についての記載の内、距離は、信頼すべきではないということが基本になっている。都合が悪いからそう言っている訳ではなく、その位置が明らかなケースで、その距離がおおまかな表記になっていることを踏まえての議論だ。
もっと大事なのが、倭の概念。倭は国なのか、民族なのか?
松本氏は後者と考え、倭は、日本と韓国をまたいで行き来したフェニキアみたいな海洋民族だったと考える。
日本側の拠点は、その結果北九州になる。そして、その考えは、当時の考古学発見(特に銅鏡)により、裏付けも可能と考える。
そして、魏志倭人伝に記される不和は、その倭人と、南九州との争いではないかと論じる。
卑弥呼については、殺されたと論じている。当時の長は、吉兆を占う能力に長けたもので、その能力が衰えた場合、長老により、次の長に挿げ替えられるのが当たり前だったという。
天岩戸の伝説も、アマテラスオオミカミの死を表していると主張する。
これ以上の議論は、文字による新発見が期待できない中、新たな考古学発見によるしかないのではと思われる。
古代史は、ミステリー。